【成年後見制度】メリットデメリットとは!?親の財産の守り方を伝授!
親御さんの財産を守るにはどうすればよいのかお悩みの方のなかには、「成年後見制度」の利用を検討されている方もいらっしゃるでしょう。
成年後見制度とは、認知症の方や知的障害のある方、精神障害の方をはじめ、判断能力が不十分と認められる方に対し、サポートを行う制度です。
ただ、親の財産管理が簡単になる!と期待して成年後見制度のことをちゃんと理解せず、安易に利用すると後で痛い目を見るかもしれません。
では、制度を理解し、最適な選択をするにはどのようにすればよいでしょうか。
そこで本記事では、成年後見制度の概要やメリットおよびデメリットを解説します。
そして、成年後見制度の使いにくい部分を解説することで、より適切な選択ができる情報を提供します。
「親の財産管理はどうしたらよいの?」とお悩みの方はぜひ最後まで読んでみてください。
【目次】
・成年後見制度の概要
・成年後見制度の分類
・その1:法定後見制度
・その2:任意後見制度
・成年後見制度のメリットとデメリット
・メリット
・デメリット
・なぜ成年後見制度は普及しないのか?
・理由その1:家族の自由な財産管理ができない
・理由その2:報酬の負担や不正のリスクがある
・成年後見制度以外の選択肢
・まとめ
冒頭でも少し触れましたが、成年後見制度とは、認知症の方や知的障害のある方、精神障害の方をはじめ、判断能力が不十分と認められる方に対し、サポートを行う制度です。
自分で任意で後見人を選ぶか、あるいは家庭裁判所が選任した後見人をたてて、財産管理や生活のサポートを行います。
制度自体は2000年の4月1日からはじまっており、この制度が活用できる潜在的ニーズがある方は約1,000万人と言われています。
成年後見制度は、後見人の決め方で大きく2つに分類されます。
1つめは、「法定後見制度」
法定後見制度では、家庭裁判所が選任した人が成年後見人となります。
2つめは、「任意後見制度」
任意後見制度では、本人があらかじめ選んでいた人が、任意後見人となります。
財産管理をしてもらいたい人が認知症など意志判断能力を喪失してしまうと
ご自身で後見人を選ぶことができなくなるため、必然的に法定後見制度を利用することになります。
法定後見制度の対象者は、認知症など、医師判断能力がなくなってしまった後に、後見人を選ぶ時に利用する制度です。
本人が判断できないため、家庭裁判所が、法律や生活の課題を考慮して最適な人を選任します。
成年後見人になるには、特別な資格などは必要ありません。
もちろん、家族や親族も成年後見人になれます。
ただし実際は、法律や福祉の専門家が選ばれることが多いようです。
任意後見制度の対象者は、本人の意思判断能力がまだ十分にある方です。
本人の意思で、判断能力が十分にある段階で、任意後見受任者と契約を結びます。
この場合は、自分が信頼できる人を自分の意思で選べます。
もちろん、信頼できる家族や親族などを指定できます。
成年後見制度のメリットとデメリットには何があるでしょうか。
順に解説していきます。
・詐欺や不要な契約を防止できる(法廷後見制度のみ取消権があります)
・預金の管理や使い込みを防止できる
・介護施設と契約できる
・不動産の売却手続きができる
・相続の手続きが進められる
・保険金の受け取りができる
特に、任意後見制度を利用している場合、契約内容や後見人を本人が自分の意思で決められるため、より安心です。
・法定後見人が選ばれると生活が不当に制限される可能性がある
・法定後見人による不正が発生する可能性がある
・家族だけで財産の自由な管理をするのが難しくなる
・申し立て費用や後見人の報酬などのコストが負担になる
・相続税対策がしにくくなる
また、成年後見人は家庭裁判所が選ぶため、本人と相性が合うかわからないのも懸念点になります。
制度を利用するかどうかは、メリットとデメリットをよく理解して慎重に判断しましょう。
さて、ここまでは、成年後見制度の内容についてみてきました。
メリットとデメリットを踏まえて、利用してみようかな、と思われた方もいらっしゃるたでしょう。
冒頭でも述べたように、この制度の潜在的な利用ニーズがある方は、約1,000万人にものぼります。
しかし実際には、2025年現在で利用されている方は約25万人で、ニーズがあると予想される方のうちわずか2%程度しか利用されていません。
これほどまでに、成年後見制度が普及していない理由は何でしょうか。
それは、以下のような課題があるためです。
・後見制度を利用するためのハードルが高い
・家族でも後見人になれない場合がある
・後見人の不正が後を絶たない
・申し立て費用や後見人に支払う報酬などコストが負担になる
さらに、成年後見制度が普及しない主な理由について深堀りをしていきましょう。
成年後見制度が普及していない理由の1つは、家族の自由な財産管理ができなくなる点です。
というのも、成年後見制度を利用すると、財産管理に第三者が関与することになります。
特に、法定後見制度を利用すると、一家の財産管理に家庭裁判所など専門家の監督が入るようになります。
そうなると、親の財産を積極的に資産運用したり、相続対策を行う事が難しくなってしまいます。
また、一定期間ごとに財産目録等の報告書を裁判所に提出しなければならなくなりません。
例えば、親と同居し、親の財産を家族の生活費にするなどしている場合だと、
今までは暗黙の了解的に、自由に使えてきた親の財産が自由に使えなくなってしまうことになります。
また、法定後見制度では、本人の自宅を売却する際に、家庭裁判書の許可が必要になってきます。
家庭裁判所の許可自体は、きちんとした理由があればおりるのですが
売却を依頼する不動産会社の選定を慎重にしていないと
本来の資産価値よりも低く売却されるケースもあるため、要注意です。
成年後見人には、管理する財産の額に応じて月額2万円~6万円程度の報酬が支払われます。
もし、月額5万円の場合、年間で50万円ほどの負担が見込まれます。
もちろん、財産管理をかわりにしてもらうためには必要な経費ですが、この不正利用も毎年のように報告がされ、後を絶ちません。
さらに、成年後見制度の利用を妨げる理由は他にもあります。
それは、成年後見制度が一度利用すると簡単には終了することができない点です。
不正されるリスクがあり、しかも一度始めると終了しにくいとなると、なかなか簡単には利用しにくいですよね。
間違いなく世の中に必要な制度ではありますが
一部、使い勝手がわるいところも抱えているのが現状の成年後見制度なのです。
成年後見制度以外の財産管理の仕組みとして、家族信託という制度があります。
家族信託は、信頼できる家族の誰かに財産管理を任せる仕組みです。
家族信託を利用する場合は、定期的な裁判所への報告義務もありませんし、継続的な報酬も不要です。
なによりも家族内で自由に財産管理ができる点が主なメリットです。
ただし注意点としては、家族信託の契約締結時に専門家へ依頼する手続き費用がかかります。
また、認知症になってしまった後では家族信託の契約をすることができません。
家族信託は近年注目されてきている、新しい財産管理の仕組みですので
成年後見制度と家族信託のそれぞれの特徴をよく理解し、比較検討して、自分たち家族に最適な方法を選ぶことが大切です。
家族信託の詳細は、こちらの動画でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
動画:Youtube 家族信託ってなに?【後見制度を使わずに財産管理する方法】
今回は、成年後見制度の概要や、制度のメリットとデメリット、成年後見制度の使い勝手のわるい部分を解説しました。
【後見制度のポイント】
・成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度がある。
・法定後見制度では、後見人を自由に選ぶことができない。
・成年後見制度は、後見人に対し報酬がかかり続けるなどのコストが発生し、一度利用すると簡単には辞められない。
・成年後見制度を利用した場合、自由に使えていた親の財産を今まで通り使えなくなったり、後見人の不正にも注意し続けなければならない。
とはいえ、内容をある程度理解しても、実際に後見制度が自分たち家族の状況にあっているかどうかを
自分たちだけで判断するのは難しいと思われるかもしれません。
ですので、ご高齢の親がいて、今後の親の財産管理について検討しなくてはいけない方は
司法書士などの専門家へご相談されることをおすすめします。
不動産相続アーキテクツの無料相談でも、成年後見制度や家族信託に強い司法書士を無料でご紹介することが可能です。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
成年後見制度とは、認知症の方や知的障害のある方、精神障害の方をはじめ、判断能力が不十分と認められる方に対し、サポートを行う制度です。
ただ、親の財産管理が簡単になる!と期待して成年後見制度のことをちゃんと理解せず、安易に利用すると後で痛い目を見るかもしれません。
では、制度を理解し、最適な選択をするにはどのようにすればよいでしょうか。
そこで本記事では、成年後見制度の概要やメリットおよびデメリットを解説します。
そして、成年後見制度の使いにくい部分を解説することで、より適切な選択ができる情報を提供します。
「親の財産管理はどうしたらよいの?」とお悩みの方はぜひ最後まで読んでみてください。
【目次】
・成年後見制度の概要
・成年後見制度の分類
・その1:法定後見制度
・その2:任意後見制度
・成年後見制度のメリットとデメリット
・メリット
・デメリット
・なぜ成年後見制度は普及しないのか?
・理由その1:家族の自由な財産管理ができない
・理由その2:報酬の負担や不正のリスクがある
・成年後見制度以外の選択肢
・まとめ
成年後見制度の概要
冒頭でも少し触れましたが、成年後見制度とは、認知症の方や知的障害のある方、精神障害の方をはじめ、判断能力が不十分と認められる方に対し、サポートを行う制度です。
自分で任意で後見人を選ぶか、あるいは家庭裁判所が選任した後見人をたてて、財産管理や生活のサポートを行います。
制度自体は2000年の4月1日からはじまっており、この制度が活用できる潜在的ニーズがある方は約1,000万人と言われています。
成年後見制度の分類
成年後見制度は、後見人の決め方で大きく2つに分類されます。
1つめは、「法定後見制度」
法定後見制度では、家庭裁判所が選任した人が成年後見人となります。
2つめは、「任意後見制度」
任意後見制度では、本人があらかじめ選んでいた人が、任意後見人となります。
財産管理をしてもらいたい人が認知症など意志判断能力を喪失してしまうと
ご自身で後見人を選ぶことができなくなるため、必然的に法定後見制度を利用することになります。
その1:法定後見制度
法定後見制度の対象者は、認知症など、医師判断能力がなくなってしまった後に、後見人を選ぶ時に利用する制度です。
本人が判断できないため、家庭裁判所が、法律や生活の課題を考慮して最適な人を選任します。
成年後見人になるには、特別な資格などは必要ありません。
もちろん、家族や親族も成年後見人になれます。
ただし実際は、法律や福祉の専門家が選ばれることが多いようです。
その2:任意後見制度
任意後見制度の対象者は、本人の意思判断能力がまだ十分にある方です。
本人の意思で、判断能力が十分にある段階で、任意後見受任者と契約を結びます。
この場合は、自分が信頼できる人を自分の意思で選べます。
もちろん、信頼できる家族や親族などを指定できます。
成年後見制度のメリットとデメリット
成年後見制度のメリットとデメリットには何があるでしょうか。
順に解説していきます。
メリット
・詐欺や不要な契約を防止できる(法廷後見制度のみ取消権があります)
・預金の管理や使い込みを防止できる
・介護施設と契約できる
・不動産の売却手続きができる
・相続の手続きが進められる
・保険金の受け取りができる
特に、任意後見制度を利用している場合、契約内容や後見人を本人が自分の意思で決められるため、より安心です。
デメリット
・法定後見人が選ばれると生活が不当に制限される可能性がある
・法定後見人による不正が発生する可能性がある
・家族だけで財産の自由な管理をするのが難しくなる
・申し立て費用や後見人の報酬などのコストが負担になる
・相続税対策がしにくくなる
また、成年後見人は家庭裁判所が選ぶため、本人と相性が合うかわからないのも懸念点になります。
制度を利用するかどうかは、メリットとデメリットをよく理解して慎重に判断しましょう。
なぜ成年後見制度は普及しないのか?
さて、ここまでは、成年後見制度の内容についてみてきました。
メリットとデメリットを踏まえて、利用してみようかな、と思われた方もいらっしゃるたでしょう。
冒頭でも述べたように、この制度の潜在的な利用ニーズがある方は、約1,000万人にものぼります。
しかし実際には、2025年現在で利用されている方は約25万人で、ニーズがあると予想される方のうちわずか2%程度しか利用されていません。
これほどまでに、成年後見制度が普及していない理由は何でしょうか。
それは、以下のような課題があるためです。
・後見制度を利用するためのハードルが高い
・家族でも後見人になれない場合がある
・後見人の不正が後を絶たない
・申し立て費用や後見人に支払う報酬などコストが負担になる
さらに、成年後見制度が普及しない主な理由について深堀りをしていきましょう。
理由その1:家族の自由な財産管理ができない
成年後見制度が普及していない理由の1つは、家族の自由な財産管理ができなくなる点です。
というのも、成年後見制度を利用すると、財産管理に第三者が関与することになります。
特に、法定後見制度を利用すると、一家の財産管理に家庭裁判所など専門家の監督が入るようになります。
そうなると、親の財産を積極的に資産運用したり、相続対策を行う事が難しくなってしまいます。
また、一定期間ごとに財産目録等の報告書を裁判所に提出しなければならなくなりません。
例えば、親と同居し、親の財産を家族の生活費にするなどしている場合だと、
今までは暗黙の了解的に、自由に使えてきた親の財産が自由に使えなくなってしまうことになります。
また、法定後見制度では、本人の自宅を売却する際に、家庭裁判書の許可が必要になってきます。
家庭裁判所の許可自体は、きちんとした理由があればおりるのですが
売却を依頼する不動産会社の選定を慎重にしていないと
本来の資産価値よりも低く売却されるケースもあるため、要注意です。
理由その2:報酬の負担や不正のリスクがある
成年後見人には、管理する財産の額に応じて月額2万円~6万円程度の報酬が支払われます。
もし、月額5万円の場合、年間で50万円ほどの負担が見込まれます。
もちろん、財産管理をかわりにしてもらうためには必要な経費ですが、この不正利用も毎年のように報告がされ、後を絶ちません。
さらに、成年後見制度の利用を妨げる理由は他にもあります。
それは、成年後見制度が一度利用すると簡単には終了することができない点です。
不正されるリスクがあり、しかも一度始めると終了しにくいとなると、なかなか簡単には利用しにくいですよね。
間違いなく世の中に必要な制度ではありますが
一部、使い勝手がわるいところも抱えているのが現状の成年後見制度なのです。
成年後見制度以外の選択肢
成年後見制度以外の財産管理の仕組みとして、家族信託という制度があります。
家族信託は、信頼できる家族の誰かに財産管理を任せる仕組みです。
家族信託を利用する場合は、定期的な裁判所への報告義務もありませんし、継続的な報酬も不要です。
なによりも家族内で自由に財産管理ができる点が主なメリットです。
ただし注意点としては、家族信託の契約締結時に専門家へ依頼する手続き費用がかかります。
また、認知症になってしまった後では家族信託の契約をすることができません。
家族信託は近年注目されてきている、新しい財産管理の仕組みですので
成年後見制度と家族信託のそれぞれの特徴をよく理解し、比較検討して、自分たち家族に最適な方法を選ぶことが大切です。
家族信託の詳細は、こちらの動画でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
動画:Youtube 家族信託ってなに?【後見制度を使わずに財産管理する方法】
まとめ
今回は、成年後見制度の概要や、制度のメリットとデメリット、成年後見制度の使い勝手のわるい部分を解説しました。
【後見制度のポイント】
・成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度がある。
・法定後見制度では、後見人を自由に選ぶことができない。
・成年後見制度は、後見人に対し報酬がかかり続けるなどのコストが発生し、一度利用すると簡単には辞められない。
・成年後見制度を利用した場合、自由に使えていた親の財産を今まで通り使えなくなったり、後見人の不正にも注意し続けなければならない。
とはいえ、内容をある程度理解しても、実際に後見制度が自分たち家族の状況にあっているかどうかを
自分たちだけで判断するのは難しいと思われるかもしれません。
ですので、ご高齢の親がいて、今後の親の財産管理について検討しなくてはいけない方は
司法書士などの専門家へご相談されることをおすすめします。
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