損せず売却するには?不動産の売却にかかる税金を分かりやすく解説
不動産を売却するとき、「税金はいくらかかるのか?」「手元に残るお金をできるだけ増やすにはどうすればいいのか?」と疑問に思う方は多いでしょう。
不動産を売却すると、売却で得た利益には税金がかかるわけですが、適用できる控除や特例を活用すれば税負担を抑えることが可能です。
そこで本記事では、不動産売却時にかかる税金の種類や計算方法をわかりやすく解説し、節税のポイントを紹介します。
後半には、具体的な税金のシミュレーションも行いますので必見です。
事前に知識を身につけておけば、税金を適切に支払い、手取り額を最大化できます。
損をせずに不動産を売却したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
【目次】
相続した不動産を売却する時にかかる2つの税金
相続した空き家を売却する時の特例とは
「空き家特例」を使用する時としない時の比較シミュレーション
まとめ
あとがき

相続した不動産の売却にかかる税金は主に、印紙税と譲渡所得税の2つがあります。
印紙税とは、不動産売買契約書に貼る印紙代にかかる税金です。
印紙税の金額は、不動産の売買価格で変わります。
例えば、売買価格が500万円を超え1,000万円以下の場合は5,000円、1,000万円を超え5,000万円以下の場合は1万円、5000万円を超え1億円以下の場合は30,000円です。(参考:国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)
ですので印紙代と言えば、5,000円~30,000円位をイメージしておくと良いと思います。
譲渡所得税とは不動産を売却した時に出た利益に対して課税される税金です。
売却価格から実際に売るのにかかった経費を引いて計算します。
売却にかかる費用と言えば、仲介手数料や解体費用、測量費用などがあります。
これらを差し引いて利益があったら、確定申告で譲渡所得税を支払います。
譲渡所得税の計算で必要になるのは、購入当時の売買契約書など売却する不動産を購入した金額がわかるものです。
というのも、不動産を取得するためにかかった費用は経費にできるため、当時の購入金額を利益から差し引くことができれば、利益が少なく計算できることになります。
この売買契約書があるかどうかは、譲渡所得税の申告でとても重要です。
親から相続する不動産は、親がかなり昔に買った不動産である場合が多いでしょう。
そうなると、当時の売買契約書がみつからず、かかった金額が正確に分からないケースがあります。
もし、購入にかかった金額が正確にわからないとどうなるかというと、税務上のルールで取得費は「売却金額の5%」で計算するということになってしまいます。
例えば3,000万円で売却された場合を例にすると、購入した時の金額がわからない場合の取得費は3,000万円の5%で150万円ということになります。
そうなると、そのほかの諸経費を差し引いても、かなり利益が出たことになるため、譲渡所得税が多くかかってしまうのです。
ですから不動産購入時の売買契約書があるかないか、はとても重要です。
将来、親の不動産の売却を検討している方は、購入時の売買契約書があるかないかをまず最初に確認しておいてください。
続いて、譲渡所得税の税率ですが、不動産の所有期間によって異なります。
譲渡所得税率は、売却した不動産の所有期間が5年以下の場合は約39%(所得税 約30%、住民税 9%)、5年超の場合は約20%(所得税 約15%、住民税 5%)になっています。
一般的に、親から不動産を相続したときは、5年を超えて所有しているケースが多いと思いますので、長期での譲渡税率に該当することが多いでしょう。
(相続の場合は取得期間は親が不動産を購入した時期から引き継ぎます)
そうすると、譲渡所得税の概算イメージは、譲渡所得の約20%ということになります。
もし、これが5年以内になった場合は短期譲渡所得に該当してくるので税率が約39%になります。
ですから所有期間が短期での売却だと、かなり高い税率になるということです。

冒頭にもお話しした通り、相続した不動産の売却の場合は、「空き家特例」が使えるケースがあります。
「空き家特例」とは、正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。
この特例の内容は、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円まで控除できるというものです。
もし多くの利益があっても、課税対象は3,000万円を控除した残りになります。
ただし、この「空き家特例」が適用されるにはいくつかの条件があります。
例えば、主な要件の一つは、「相続した空き家が昭和56年5月31日以前に建築された築年数の古い建物」であること。
また「区分所有建物登記がされていないもの」。
要するに、築年数の古い一戸建てが対象となります。
また、「相続の開始直前において被相続人以外が居住していなかった事」なども条件となります。
(参考:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)
さらに、昭和56年5月31日以前に建築された一戸建てに対してこの「空き家特例」を適用させるためには、一定の耐震基準を満たす状態にリフォームを行うか、建物を取り壊して更地にする必要があります。
しかしながら、築年数の古い空き家を耐震リフォームをするのには多額のリフォーム費用がかかりますし、しかも建物自体(建物の構造自体)が新しくなるわけではないのであまり現実的ではありません。
それなりの費用をかけて耐震リフォームをしたからといって、その分高く売れる保証もありません。
そう考えると、空き家を全部取り壊して更地にして売ることのほうが現実的です。
解体工事費用が、一般的な木造戸建てだと200~300万円程度かかるため、「空き家特例」を使ったほうがメリットがあるのか、「空き家特例」を適用せずに解体しないまま売った方がいいかは、売却前に必ずシミュレーションするようにしましょう。

ここまで、「空き家特例」の適用条件について説明してきましたが、適用して売却する場合とそうでない場合に、どのくらい手取り額が違ってくるか、相続した不動産を3,000万円で売却するとして以下の2つのパターンでシミュレーションをしてみたいと思います。
①「空き家特例」を使わず、建物をそのまま取り壊さずに売却した場合
②「空き家特例」を適用し、建物を取り壊して更地にして引き渡した場合

①と②で何が異なるかというと、空き家特例を利用せずに売却する①の場合、建物はそのままで解体工事費用は要りません。
②は建物の解体工事費用がかかりますが、空き家特例の控除で売却金額から3,000万円を控除できるので譲渡所得税が0円になります。
①は「空き家特例」が適用とならないため、譲渡所得税が約543万円かかります。
ちなみに①は解体工事費用がないため、税引き後の最終手取り額は約2,280万円です。
一方、「空き家特例」を適用した②では、税金は0円です。
解体費用が200万円かかったとしても、税引き後の最終的な手取り額は約2,623万円となります。
こちらのケースでは「空き家特例」を適用した方が、税引き後の最終的な手取り額が約343万円多くなることがわかります。
これは売買金額によっても変わってきますが、やはり「空き家特例」を使うかどうかで手取り額は大きく変わってきます。
ですので、親から相続した古い一戸建てを売却する場合には
・まずは「空き家の特例」の要件に当てはまる状況かどうかをチェックする。
・「空き家特例」が適用となる場合は、契約条件も「空き家特例」が適用になる形になるよう買主に交渉する。
といったステップを踏むようにしましょう。
・不動産の売却にかかる主な税金は印紙税と譲渡所得税。
・印紙税は売買価格により異なるが、一般的には5千円から3万円の間になることが多い。
・譲渡所得税の算出には、購入時の金額が分かる契約書が必要。もし購入時の売買契約書がない場合は、売買契約書がある場合に比べて譲渡所得税が高くなってしまう可能性があるので要注意。
・相続した不動産が築年数の古い一戸建ての場合は、「空き家特例」が使える可能性がある。
・「空き家特例」が利用できると、譲渡所得から3,000万円を控除することができるため、譲渡所得税を少なくできる可能性が高まる。
親から相続した不動産の売却を検討する際は、このような点をチェックしておかれることをおすすめします。
さて今回は、相続した不動産を売却する時にかかる税金、譲渡所得税を計算する際の注意点と計算シミュレーションを紹介しました。
相続した空き家を売却する場合の特例や、譲渡所得税の計算で不動産購入当初の契約書が必要ということは、知っているか知らないかで、支払うべき税金に大きな差が出ます。
少しでも手取り額を増やすためには、まずは情報収集をし、早めに必要な行動をとるようにしましょう。
とはいえ、譲渡所得税の計算や、特例の要件など、相続に関する知識は難しい事が多いですよね。
不動産相続アーキテクツの無料相談は、相続した不動産の売却に関するご相談や、相続に強い税理士のご紹介もしています。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
不動産を売却すると、売却で得た利益には税金がかかるわけですが、適用できる控除や特例を活用すれば税負担を抑えることが可能です。
そこで本記事では、不動産売却時にかかる税金の種類や計算方法をわかりやすく解説し、節税のポイントを紹介します。
後半には、具体的な税金のシミュレーションも行いますので必見です。
事前に知識を身につけておけば、税金を適切に支払い、手取り額を最大化できます。
損をせずに不動産を売却したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
【目次】
相続した不動産を売却する時にかかる2つの税金
相続した空き家を売却する時の特例とは
「空き家特例」を使用する時としない時の比較シミュレーション
まとめ
あとがき
相続した不動産を売却する時にかかる2つの税金

相続した不動産を売却する際にかかる税金を解説します
相続した不動産の売却にかかる税金は主に、印紙税と譲渡所得税の2つがあります。
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書に貼る印紙代にかかる税金です。
印紙税の金額は、不動産の売買価格で変わります。
例えば、売買価格が500万円を超え1,000万円以下の場合は5,000円、1,000万円を超え5,000万円以下の場合は1万円、5000万円を超え1億円以下の場合は30,000円です。(参考:国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)
ですので印紙代と言えば、5,000円~30,000円位をイメージしておくと良いと思います。
譲渡所得税
譲渡所得税とは不動産を売却した時に出た利益に対して課税される税金です。
売却価格から実際に売るのにかかった経費を引いて計算します。
売却にかかる費用と言えば、仲介手数料や解体費用、測量費用などがあります。
これらを差し引いて利益があったら、確定申告で譲渡所得税を支払います。
譲渡所得税の計算で必要になるのは、購入当時の売買契約書など売却する不動産を購入した金額がわかるものです。
というのも、不動産を取得するためにかかった費用は経費にできるため、当時の購入金額を利益から差し引くことができれば、利益が少なく計算できることになります。
この売買契約書があるかどうかは、譲渡所得税の申告でとても重要です。
親から相続する不動産は、親がかなり昔に買った不動産である場合が多いでしょう。
そうなると、当時の売買契約書がみつからず、かかった金額が正確に分からないケースがあります。
もし、購入にかかった金額が正確にわからないとどうなるかというと、税務上のルールで取得費は「売却金額の5%」で計算するということになってしまいます。
例えば3,000万円で売却された場合を例にすると、購入した時の金額がわからない場合の取得費は3,000万円の5%で150万円ということになります。
そうなると、そのほかの諸経費を差し引いても、かなり利益が出たことになるため、譲渡所得税が多くかかってしまうのです。
ですから不動産購入時の売買契約書があるかないか、はとても重要です。
将来、親の不動産の売却を検討している方は、購入時の売買契約書があるかないかをまず最初に確認しておいてください。
続いて、譲渡所得税の税率ですが、不動産の所有期間によって異なります。
譲渡所得税率は、売却した不動産の所有期間が5年以下の場合は約39%(所得税 約30%、住民税 9%)、5年超の場合は約20%(所得税 約15%、住民税 5%)になっています。
一般的に、親から不動産を相続したときは、5年を超えて所有しているケースが多いと思いますので、長期での譲渡税率に該当することが多いでしょう。
(相続の場合は取得期間は親が不動産を購入した時期から引き継ぎます)
そうすると、譲渡所得税の概算イメージは、譲渡所得の約20%ということになります。
もし、これが5年以内になった場合は短期譲渡所得に該当してくるので税率が約39%になります。
ですから所有期間が短期での売却だと、かなり高い税率になるということです。
相続した空き家を売却する時の特例とは

相続空家の特例を紹介します
冒頭にもお話しした通り、相続した不動産の売却の場合は、「空き家特例」が使えるケースがあります。
「空き家特例」とは、正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。
この特例の内容は、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円まで控除できるというものです。
もし多くの利益があっても、課税対象は3,000万円を控除した残りになります。
ただし、この「空き家特例」が適用されるにはいくつかの条件があります。
例えば、主な要件の一つは、「相続した空き家が昭和56年5月31日以前に建築された築年数の古い建物」であること。
また「区分所有建物登記がされていないもの」。
要するに、築年数の古い一戸建てが対象となります。
また、「相続の開始直前において被相続人以外が居住していなかった事」なども条件となります。
(参考:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)
さらに、昭和56年5月31日以前に建築された一戸建てに対してこの「空き家特例」を適用させるためには、一定の耐震基準を満たす状態にリフォームを行うか、建物を取り壊して更地にする必要があります。
しかしながら、築年数の古い空き家を耐震リフォームをするのには多額のリフォーム費用がかかりますし、しかも建物自体(建物の構造自体)が新しくなるわけではないのであまり現実的ではありません。
それなりの費用をかけて耐震リフォームをしたからといって、その分高く売れる保証もありません。
そう考えると、空き家を全部取り壊して更地にして売ることのほうが現実的です。
解体工事費用が、一般的な木造戸建てだと200~300万円程度かかるため、「空き家特例」を使ったほうがメリットがあるのか、「空き家特例」を適用せずに解体しないまま売った方がいいかは、売却前に必ずシミュレーションするようにしましょう。
「空き家特例」を使用する時としない時の比較シミュレーション

相続不動産の売買にかかる税金を2パターンでシミュレーションします
ここまで、「空き家特例」の適用条件について説明してきましたが、適用して売却する場合とそうでない場合に、どのくらい手取り額が違ってくるか、相続した不動産を3,000万円で売却するとして以下の2つのパターンでシミュレーションをしてみたいと思います。
①「空き家特例」を使わず、建物をそのまま取り壊さずに売却した場合
②「空き家特例」を適用し、建物を取り壊して更地にして引き渡した場合

①と②で何が異なるかというと、空き家特例を利用せずに売却する①の場合、建物はそのままで解体工事費用は要りません。
②は建物の解体工事費用がかかりますが、空き家特例の控除で売却金額から3,000万円を控除できるので譲渡所得税が0円になります。
①は「空き家特例」が適用とならないため、譲渡所得税が約543万円かかります。
ちなみに①は解体工事費用がないため、税引き後の最終手取り額は約2,280万円です。
一方、「空き家特例」を適用した②では、税金は0円です。
解体費用が200万円かかったとしても、税引き後の最終的な手取り額は約2,623万円となります。
こちらのケースでは「空き家特例」を適用した方が、税引き後の最終的な手取り額が約343万円多くなることがわかります。
これは売買金額によっても変わってきますが、やはり「空き家特例」を使うかどうかで手取り額は大きく変わってきます。
ですので、親から相続した古い一戸建てを売却する場合には
・まずは「空き家の特例」の要件に当てはまる状況かどうかをチェックする。
・「空き家特例」が適用となる場合は、契約条件も「空き家特例」が適用になる形になるよう買主に交渉する。
といったステップを踏むようにしましょう。
まとめ
・不動産の売却にかかる主な税金は印紙税と譲渡所得税。
・印紙税は売買価格により異なるが、一般的には5千円から3万円の間になることが多い。
・譲渡所得税の算出には、購入時の金額が分かる契約書が必要。もし購入時の売買契約書がない場合は、売買契約書がある場合に比べて譲渡所得税が高くなってしまう可能性があるので要注意。
・相続した不動産が築年数の古い一戸建ての場合は、「空き家特例」が使える可能性がある。
・「空き家特例」が利用できると、譲渡所得から3,000万円を控除することができるため、譲渡所得税を少なくできる可能性が高まる。
親から相続した不動産の売却を検討する際は、このような点をチェックしておかれることをおすすめします。
あとがき
さて今回は、相続した不動産を売却する時にかかる税金、譲渡所得税を計算する際の注意点と計算シミュレーションを紹介しました。
相続した空き家を売却する場合の特例や、譲渡所得税の計算で不動産購入当初の契約書が必要ということは、知っているか知らないかで、支払うべき税金に大きな差が出ます。
少しでも手取り額を増やすためには、まずは情報収集をし、早めに必要な行動をとるようにしましょう。
とはいえ、譲渡所得税の計算や、特例の要件など、相続に関する知識は難しい事が多いですよね。
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どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
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