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相続知識

豊島区で遺言書がない場合の遺産分割の進め方 ――親が遺言を残していなかった時の相続実務ガイド

【導入】「遺言書がない相続」は今や大多数

親や配偶者が亡くなった後、「遺言書が見当たらない」「何も準備していなかった」というケースは非常に多く、日本国内の相続の約7割が“遺言書なし”の状態で発生していると言われています。

特に東京都心に位置する豊島区のようなエリアでは、相続対象となる不動産の評価額が高く、分割協議が難航しやすい傾向があります。

このブログでは、遺言書がないまま相続が発生した際に、豊島区でどう遺産分割を進めていくか、具体的な手順・注意点・トラブル回避策を、実際の地域事情もふまえてわかりやすく解説します。

第1章:遺言書がないとどうなる?法定相続の基本ルール

■ 法定相続分に従って分けることになる

遺言書がない場合、相続は**民法に基づいた「法定相続分」**で行うのが原則です。

たとえば

配偶者+子ども2人
【法定相続分】配偶者1/2、子1人あたり1/4ずつ

配偶者+父母
【法定相続分】配偶者2/3、父母1/3

子どものみ
【法定相続分】均等に分割

つまり、財産はあらかじめ国が決めた分け方で「権利」が発生します。

■ 不動産は分けられない

注意したいのは、豊島区のような不動産価値の高い地域では、財産の多くが“分割しにくい不動産”で構成されていること。たとえば:

・池袋のマンション

・巣鴨の一戸建て

・目白の土地つき住宅

これらを相続人3人で等分する、というのは物理的には非常に難しく、「共有名義」や「売却して現金化」など、個別に工夫が必要になります。

第2章:遺産分割協議の手順と必要書類

■ ステップ① 相続人の確定

最初に必要なのは、「誰が相続人か」を確定させることです。これは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を全て収集して確認します。

※豊島区役所戸籍課では「現在の戸籍」の取得は可能ですが、本籍が別にある場合は他区市町村から取り寄せが必要です。

■ ステップ② 相続財産の調査

次に、遺産の内容を明確にします。代表的なものは:

・不動産(登記簿謄本、固定資産評価証明書)

・預貯金・株式・保険金

・借金・保証債務などのマイナス財産

豊島区の不動産は、固定資産評価が高いため、評価証明書を早めに取得しておくことが重要です(豊島区役所税務課で発行可)。

■ ステップ③ 遺産分割協議書の作成

相続人全員で協議を行い、話し合いの結果を「遺産分割協議書」として書面化します。これには相続人全員の署名・実印押印・印鑑証明書が必要です。

※1人でも署名を拒否すれば、協議は成立しません。

第3章:豊島区の不動産が絡む遺産分割の注意点

■ 単独相続か共有相続か

不動産が相続財産に含まれる場合、以下の選択肢があります。

・単独相続:1人が不動産を取得し、他の相続人に現金などで調整(代償分割)

・共有相続:複数人で持ち分を持ち合う(リスクあり)

豊島区でよくある事例は、実家を子ども2人で共有するが、片方が住み続けるというもの。しかし、将来的に売却や建替えができなくなる、感情的なトラブルに発展するリスクが高く、なるべく単独名義にする方が安全です。

■ 売却して分割するケース

豊島区の不動産は資産価値が高く、売却して現金で分ける「換価分割」も現実的な選択肢です。たとえば:

・池袋駅徒歩10分の一戸建て:1億円前後 → 売却して分配

・アパート物件:利回り付きで高く売れる

この場合も、相続登記をしてからでないと売却はできません。また、売却益に対する譲渡所得税の対策も必要です。

第4章:協議がまとまらない場合の対処法と家庭裁判所の利用

■ 協議がまとまらない原因とは?

・不動産の評価額で意見が割れる

・「住んでいる人」と「遠方に住む人」で主張が違う

・感情的な対立(再婚・認知・介護など)

豊島区は都市部ゆえに、兄弟姉妹が全国に散らばっているケースが多く、話し合い自体が困難になることも。

■ 家庭裁判所での「遺産分割調停」

協議が不調に終わった場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」の申立てができます。

【東京家庭裁判所 本庁】
東京都千代田区隼町1番1号
(豊島区からは地下鉄で20分前後)

裁判所では調停委員が間に入り、公平な分割案の提示・調整を図ることができます。調停でも不調の場合は、審判で裁判所が分割方法を決定します。

第5章:税金・登記・名義変更の実務ポイント

■ 相続税の申告と納税

豊島区の不動産相続では、相続税が発生する可能性が高いです。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例:子2人 → 4,200万円が控除額

豊島区の土地評価額は高く、池袋駅周辺で1㎡100万円を超えることも珍しくありません。

相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内。小規模宅地の特例や配偶者控除を活用すれば軽減できることも。

■ 登記(名義変更)

不動産を相続した場合、必ず「相続登記(名義変更)」が必要です。これは2024年から義務化されており、

・相続発生から3年以内に登記しなければ過料の可能性

・登記申請先:東京法務局 豊島出張所(西池袋)

遺産分割協議書がないと、登記もできません。

【まとめ】豊島区で遺言書がない相続は「早期の準備」と「冷静な話し合い」が鍵

遺言書がない状態で相続が発生してしまうと、以下のような対応が必要です。

◆ やるべきことチェックリスト

1.相続人の確定(戸籍の収集)

2.財産の調査(不動産・預貯金・負債)

3.遺産分割協議書の作成(署名・印鑑証明が必要)

4.相続税の申告(10ヶ月以内)

5.相続登記の実行(2024年以降義務化)

遺言がないからこそ、相続人同士の信頼と対話が非常に重要になります。感情に任せて行動する前に、専門家の助けを借りながら、冷静に進めることが最善です。

◆豊島区における相続実務の相談先

司法書士・行政書士事務所(登記・協議書作成)

税理士(評価・相続税対策)

弁護士(トラブル調整・調停代理)

豊島区役所 各窓口(評価証明・戸籍発行)

東京家庭裁判所(調停)

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