豊島区で認知症の親から相続する際の手続き
相続というと、被相続人が亡くなった後に始まるものと思われがちですが、親が認知症になった段階で“事前準備”が必要なケースも多く存在します。特に豊島区のように地価が高く、相続税のリスクや不動産の評価額が高い地域では、「元気なうちからの対策」が重要になります。
本記事では、親が認知症になった・もしくは認知症が疑われる段階で、どのような法的・実務的な手続きが必要になるのか、豊島区特有の事情を交えながら詳しく解説します。
【第1章】認知症の親の財産は自由に扱えない?
■ 財産管理の限界 親が認知症になると、預貯金の引き出しや不動産の売却、名義変更などの法的手続きができなくなります。銀行口座や不動産登記上の手続きは「本人の意思確認」が前提とされるため、意思能力を失った状態では「代理人」が必要です。
■ 家族が勝手に売却するのはNG たとえ実の子であっても、法的な代理権がなければ、不動産を売ったり、契約行為をしたりすることはできません。認知症発症後に無断で契約を結ぶと、「無効」と判断される可能性も。
【第2章】成年後見制度の仕組みと手続き
■ 成年後見とは 認知症や知的障害などにより判断能力が低下した人を保護・支援するための制度。家庭裁判所が後見人を選任し、財産管理や身上監護を行います。
■ 豊島区での申立先 東京家庭裁判所(千代田区隼町1-1)が管轄。申立は本人の住所地に基づきます。
■ 申立に必要な書類
・戸籍謄本、住民票
・財産目録、不動産登記事項証明書
・医師の診断書(成年後見用)
・申立書一式(裁判所Webから入手可能)
■ 審理と選任 申立から審理終了まで約1〜3ヶ月。家族が後見人に選ばれるケースもあれば、専門職(司法書士や弁護士)が選任されることもあります。
【第3章】家族信託という選択肢
■ 家族信託とは? 親が元気なうちに、不動産や預貯金などの財産を「信託財産」として、信頼できる家族(受託者)に管理・処分を任せる制度です。成年後見と違い、裁判所の関与が不要で、柔軟な財産運用が可能です。
■ 豊島区での活用事例
・実家を売却し、老人ホーム費用に充てる
・アパートの家賃収入を子が管理する
・相続対策として、不動産の事前整理を行う
■ 注意点
・公証役場で信託契約書の作成が必要
・贈与税・所得税の知識が求められる
・専門家(司法書士・税理士等)への相談が不可欠
【第4章】認知症の親の相続発生時に気をつけること
■ 死後の相続手続きは通常通り 親が認知症であった場合でも、亡くなった後の相続手続き(戸籍収集、遺産分割、登記など)は通常の相続と同様です。ただし、生前に成年後見が開始していた場合、後見人の報告書が必要になることがあります。
■ 遺言書の有無を確認 認知症発症後に作成された遺言書は、「意思能力があったか」が争点になりやすく、無効とされる場合があります。元気なうちに公正証書遺言を作成しておくのが望ましいです。
■ 相続税の申告も忘れずに 豊島区は地価が高いため、実家1軒でも相続税の申告が必要となることがあります。税務署(池袋税務署)での手続き、税理士への相談が重要です。
【第5章】豊島区での相続・後見制度の支援窓口
■ 豊島区役所 高齢者福祉課
・成年後見制度利用支援事業
・家族向けの相談窓口あり
■ 豊島区社会福祉協議会
・成年後見センターと連携
・地域包括支援センターとも協力
■ 東京司法書士会 豊島支部
・成年後見人の選任実績多数
・家族信託にも対応可能
■ その他の相談先
・豊島区内の司法書士・弁護士事務所
・税理士事務所
・信託銀行の信託窓口
【まとめ】認知症の親の相続対策は“早めの準備”が何より大切
認知症は、誰にでも起こり得る現実です。親が元気なうちから、どのように財産を管理し、誰に何を残すのかを考えておくことが、将来の家族の負担を減らす最大の相続対策です。
豊島区のように、不動産価値が高く権利関係が複雑になりやすい地域では、特に注意が必要です。
成年後見制度・家族信託・遺言・相続登記――これらのキーワードを理解し、家族でしっかり話し合っておくことが、安心相続への第一歩です。
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