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相続知識

豊島区で借家人付き物件を相続した際の対応方法

東京都豊島区は、池袋や大塚、巣鴨など、古くからの住宅地と商業地が混在するエリアです。そのため、親や祖父母が所有していた不動産を相続するとき、「借家人がすでに入居している状態の物件」を引き継ぐケースも少なくありません。
いわゆる「借家人付き物件」を相続すると、通常の空き家や更地とは異なる複雑な対応が必要になります。賃貸借契約をそのまま引き継ぐ義務があるため、自由に売却や活用ができないこともあり、相続人にとって悩みの種となりやすいのです。


本記事では、豊島区で借家人付き物件を相続した際に考えるべき対応方法について、法的ルール・税務上の扱い・実務的な注意点を交えて詳しく解説します。







第1章:借家人付き物件を相続したときの基本ルール


1.1 賃貸借契約はそのまま引き継がれる


・借家人がいる場合、契約上の地位は相続人に承継される


・相続開始を理由に契約を解除することはできない


・賃貸借契約書の内容を確認し、家賃額・契約期間・更新条件を把握することが必須



1.2 借地借家法の影響


・借地借家法により借家人の権利は強く保護されている


・正当事由がなければ立退きを求められない


・修繕義務や設備維持の責任は基本的に大家側(相続人側)にある



1.3 相続税評価への影響


・借家人がいることで不動産評価額は下がる


・「貸家建付地」として評価され、通常の更地より20〜30%程度低く算出される


・節税効果はあるが、自由な処分が制限される点に注意







第2章:賃貸経営を継続する選択肢


2.1 メリット


・家賃収入をそのまま継続して得られる


・借家権があるため、相続税評価額が下がり節税効果がある


・将来的にリノベーションして収益改善できる可能性も



2.2 デメリット


・修繕や管理費の負担が続く


・家賃滞納やトラブルへの対応が必要


・古い建物の場合、耐震性や安全性のリスクがある



2.3 豊島区の特徴


・単身者・学生・外国人居住者の需要が多い


・池袋周辺ではシェアハウスやマンスリー賃貸への転用が盛ん


・賃料相場は比較的高く、借家人付きでも安定収益が期待できる







第3章:売却する場合の注意点


3.1 借家人付き物件は「投資用物件」として売る


・借家人がいる状態で売却すると、購入者は家賃収入を得られるため「オーナーチェンジ物件」として取引される


・一般の居住用より流通価格は下がるが、投資家ニーズは根強い



3.2 借家人がいることによる価格調整


・家賃額が市場相場より低い場合、収益還元価値が下がる


・契約期間が長く残っていると、買主が自由に活用できないため価格はさらに低下



3.3 豊島区の市場背景


・池袋は投資用不動産の取引が活発


・借家人付きでも「駅近・商業エリア」なら需要が高い


・再開発地域では、借家人対応を前提に購入するデベロッパーも存在







第4章:借家人に退去をお願いする場合


4.1 正当事由が必要


・「建替えしたい」「相続人が住みたい」などの事情だけでは足りず、金銭補償などの立退料が必要


・借家人が拒否した場合、裁判所の判断が必要になることもある



4.2 立退料の相場


・家賃の6か月〜2年分程度が一般的


・豊島区の平均家賃を考慮すると、数百万円単位になるケースもある



4.3 交渉の実務


・弁護士や不動産業者に依頼して進めるのが無難


・トラブルを避けるため、書面で条件を明確にする







第5章:相続税と借家人付き物件の評価


5.1 貸家建付地評価


・「土地」について、借家人が住んでいる部分は借家権割合を考慮し20〜30%減額される


・「建物」についても貸家としての評価で減額される



5.2 小規模宅地等の特例


・相続人が賃貸経営を継続する場合、土地面積200㎡まで50%評価減の適用が可能


・豊島区のような地価の高いエリアでは節税効果が非常に大きい



5.3 注意点


・相続後にすぐ売却してしまうと、特例の適用を受けられない場合がある


・「賃貸経営を続ける意思」が要件となるため、事前に計画を立てることが重要







第6章:豊島区での具体的事例


事例1:池袋の木造アパートを相続


・借家人が4戸中3戸入居


・相続人はリフォームして家賃を相場に近づけ、賃貸経営を継続


・節税効果と安定収益を両立



事例2:巣鴨の借家人付き一戸建てを相続


・借家人が長期居住で家賃が相場より低い


・投資家に「オーナーチェンジ物件」として売却


・相続人は現金を分け合い、遺産分割を円滑に進められた







第7章:専門家に相談すべきポイント


弁護士:立退き交渉、契約解除の可否


税理士:相続税評価と特例の適用確認


不動産会社:市場価格の査定、売却スキームの提案


管理会社:賃貸管理の委託による負担軽減







まとめ


借家人付き物件を相続すると、


・賃貸経営を継続する


・投資用として売却する


・借家人に立退きをお願いして建替えや自己使用する


という複数の選択肢があります。
ただし借家人の権利は強く守られているため、相続人が自由に処分するのは難しく、法律や税務の知識が欠かせません。


豊島区は地価が高いぶん、借家人付きでも十分な資産価値があり、相続税対策としても有利に働くケースがあります。相続人がどのように資産を維持・分割したいかを踏まえ、専門家と連携しながら最適な対応方法を選択することが重要です。

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