豊島区での2次相続(配偶者死亡後)の備え方
相続には「1次相続」と「2次相続」があります。1次相続は、夫婦のどちらかが亡くなったときに発生する相続。そして2次相続は、残された配偶者が亡くなったときに発生する相続です。
東京都豊島区のように不動産の資産価値が高いエリアでは、2次相続こそが本当の相続リスクだといわれています。1次相続では「配偶者控除」によって相続税が軽減されるため、納税負担が軽くなるケースが多いですが、2次相続ではその控除が使えず、子ども世代に重い税負担がのしかかるのです。
この記事では、豊島区で不動産を所有する家庭が、2次相続を見据えてどのように備えるべきかを具体的に解説します。
第1章:2次相続の仕組みとリスク
1.1 1次相続との違い
1次相続:夫か妻のどちらかが亡くなったとき。配偶者控除により配偶者の税負担はほぼゼロにできる。
2次相続:残された配偶者が亡くなったとき。控除が使えないため、子ども世代に一気に税負担がかかる。
1.2 豊島区に多いリスク
・不動産の評価額が高い → 子どもが納税資金に困る
・実家のマンションやアパートを売却せざるを得ない
・複数の子どもが相続人となると、遺産分割協議が長引き「争族」化
第2章:豊島区の不動産と2次相続の関係
2.1 高額な評価額
池袋・目白・駒込といったエリアは路線価が高く、1物件で数千万円〜数億円に達します。2次相続ではこれらがすべて課税対象になるため、税額が膨らみやすいのです。
2.2 賃貸不動産の承継
アパートやマンションを所有する家庭では、子どもが賃貸経営を引き継ぐか、売却するかで揉めるリスクがあります。2次相続では事業承継の意味合いも含まれるのです。
2.3 再建築不可や借地権物件
豊島区の住宅密集地には再建築不可物件や借地権付き物件も存在します。こうした不動産は「相続人が引き取りたがらない」ケースがあり、処分方法に悩むことが多いです。
第3章:2次相続対策の基本方針
3.1 遺言書の活用
・配偶者が亡くなった後の承継先をあらかじめ指定しておく
・公正証書遺言を活用すれば、子ども世代の争いを未然に防止
3.2 生前贈与
・暦年贈与(年間110万円まで非課税)
・相続時精算課税制度(2500万円まで非課税枠)
豊島区の高額不動産は「一括で相続」すると税額が重いため、少しずつ移転しておく方法が有効です。
3.3 生命保険の活用
・死亡保険金には「500万円 × 法定相続人」の非課税枠がある
・納税資金を生命保険で準備しておくと安心
3.4 家族信託
・高齢の親が認知症になった場合でも不動産を適切に管理できる
・受託者を子どもにしておけば、2次相続後の承継がスムーズ
第4章:具体的な対策事例(豊島区)
事例1:池袋の自宅マンション
1次相続では母が自宅を相続し、相続税はゼロ。しかし母が亡くなった時点でマンション評価額1億円が課税対象となり、子ども2人に大きな税負担が発生。
→ 事前に生命保険で納税資金を確保していたため、売却せずに済んだ。
事例2:目白の土地と賃貸アパート
父の死後、母が土地とアパートを承継。母の死後に子ども3人で相続したが、経営方針で対立。
→ 家族信託を活用して長男を管理者に指定しておけば、スムーズに事業承継できた可能性がある。
事例3:巣鴨の借地権物件
母が借地権付き戸建を相続。その後、母の死後に子ども2人が相続したが、地主との契約更新料をめぐり対立。
→ 遺言で「長男が相続、代償金を長女に支払う」としておけば公平性が担保できた。
第5章:専門家の役割
5.1 税理士
・2次相続までを見据えた相続税シミュレーション
・小規模宅地等の特例や配偶者控除の最適な使い方を提案
5.2 司法書士
・相続登記や共有整理
・家族信託契約のサポート
5.3 弁護士
・相続人間の意見調整
・遺産分割協議や調停に対応
5.4 不動産会社
・相続不動産の査定、売却・賃貸提案
・再建築不可物件の利活用プラン
まとめ
豊島区での2次相続は、1次相続以上に大きな税負担とトラブルリスクを伴います。
・高額不動産の存在
・配偶者控除が使えない現実
・子ども世代の公平性の確保
これらを意識して、早めに 遺言・生前贈与・生命保険・家族信託 といった対策を講じておくことが重要です。
豊島区に不動産を持つご家庭では、2次相続を「いつか来るもの」ではなく「具体的に準備すべき課題」と捉え、専門家と一緒にプランを立てておくことが、家族の安心と資産の保全につながります。
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