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相続知識

認知症で実家が売れない絶望:「成年後見制度」の罠と、家庭裁判所の壁を突破して不動産を現金化するプロの実務

1. 2026年、親の認知症が引き起こす「不動産の完全凍結」


親が施設に入り、誰も住まなくなった実家。毎月の施設費用や固定資産税の支払いが重くのしかかり、「実家を売って現金化したい」と考えるのは家族として当然の判断です。


しかし、不動産会社に売却を依頼し、いざ買主が見つかって売買契約を結ぼうとした段階で、司法書士や不動産会社から必ずこう問われます。 「お父様(名義人)は、ご自身のお名前を書いて、契約の内容を正しく理解できますか?」


ここで「実は重度の認知症で、私の顔も分からない状態です」と答えた瞬間、その売買契約は完全にストップします。 2026年現在の法律・不動産実務において、意思能力(判断能力)を失った人間の財産を、家族が勝手に売却することは100%不可能です。親の預金口座が凍結されるのと同じように、実家の不動産もまた、法的に「身動きが取れない完全凍結状態」へと陥るのです。



2. 救世主ではない「成年後見制度」という名のブラックボックス


不動産会社から「親御さんの『成年後見人』になってから、再度来てください」と言われ、多くの家族は家庭裁判所へ向かいます。 「自分が親の後見人になって、実家を売ればいいんだな」と軽く考えて申し立てを行うと、ここで取り返しのつかない大失敗を犯すことになります。


成年後見制度は、家族が親の財産を自由に動かせるようになる「魔法の杖」ではありません。親の財産を「家庭裁判所の厳しい監視下」に置くための、極めて強固な南京錠なのです。


さらに2026年現在、財産の額が大きい場合や不動産の売却が絡む場合、裁判所は家族ではなく、見ず知らずの「弁護士」や「司法書士」をプロの成年後見人(専門職後見人)として選任するケースが多発しています。 見知らぬ専門家が親の通帳や権利証をすべて持ち去り、家族は親のお金を1円引き出すのにも、いちいちその専門家にお伺いを立てなければならないという、強烈なストレスと不自由な生活がスタートします。



3. 実家を売らせてくれない家庭裁判所の「資産保全」ルール


親の代わりに契約してくれる後見人がついたのだから、これで実家が売れるだろう。そう思った家族に、家庭裁判所と後見人は冷酷な現実を突きつけます。


「お父様にはまだ預金が十分にあるので、実家を売却する必要性はありません。売却は不許可です」


ここが、成年後見制度における最大のトラップです。 家庭裁判所や後見人の使命は「親の財産を1円でも減らさずに守り抜くこと(現状維持)」です。「空き家の管理が大変だから」「将来の相続税対策のために」といった、家族側の都合による不動産売却は絶対に認められません


実家(親の居住用不動産)を売却するためには、家庭裁判所から特別な許可(居住用不動産処分の許可)をもらう必要があります。しかし裁判所は、「親の医療費や施設代を払うために、どうしても現金が足りない」という切迫した理由(売却の必要性)がない限り、決して首を縦に振らないのです。


さらに、専門職後見人がついた場合、親が亡くなるまでの数年間〜十数年間、毎月3万円〜5万円程度の「後見人報酬」が親の財産から自動的に引かれ続けます。 一度制度を利用したら、親が亡くなるまで絶対に途中でやめることはできません。



4. 2026年版:裁判所を論破し、実家売却の「許可」を勝ち取る実務手順


すでに成年後見制度を利用してしまった、あるいは利用せざるを得ない状況で、どうしても空き家となった実家を売却したい場合。プロは以下のような周到なロジックを組み立てて、家庭裁判所を説得します。


①「売却しないことによる明確な不利益」の立証


「お金が足りない」という理由以外で裁判所を動かすための強力なカードが、「財産の目減りリスク」です。 老朽化した実家を放置することで、毎年の固定資産税の垂れ流し、庭木の越境による近隣トラブル、台風による屋根の崩落リスクなどを客観的なデータ(見積書や写真)で示し、「今すぐ売却して現金に換えておかないと、結果的に親御さんの財産が大きく毀損(きそん)する」という論理を組み立てます。


② 適正価格を担保する「複数社の査定」と「公開市場での売却」


家庭裁判所が最も嫌うのは「親の財産を、親族の都合で不当に安く買い叩かれること」です。 そのため、不動産会社1社だけの査定で進めるのはNGです。大手の不動産会社を含む最低3社から査定書を取り寄せ、「一般市場で、最も高い価格を出した買主に売却する」という透明性の高いプロセスを裁判所に提示し、売却価格の妥当性を完璧に証明します。


③ ケアマネージャーを巻き込んだ「生活設計の証明」


親が現在入所している施設の費用や、将来必要になるであろう医療費のシミュレーション(ライフプラン表)を作成します。施設のケアマネージャーや相談員とも連携し、「今後の安心な余生のためには、不動産という流動性の低い資産ではなく、現金として手元に持っておくことが本人のためになる」という報告書を提出します。



5. 【ケーススタディ】「売却不要」と突き放された家裁の判断を覆した、徹底的なリスク証明


遠方の施設に入所した母親(重度認知症)が所有する、築40年の空き家実家の売却をめぐる長女様(50代)の事例。


【課題】 母親名義の実家を売るため、長女様は家庭裁判所に申し立てを行い、弁護士が専門職後見人としてつきました。長女様が「実家を売りたい」と後見人に伝えたところ、「お母様の通帳にはまだ1,500万円の預金があるため、生活費には困っていません。裁判所は実家の売却を許可しないでしょう」と一蹴され、売却手続きが完全に暗礁に乗り上げていました。


【プロの介入】 相談を受けた私たちは、現場の空き家を徹底調査しました。すると、建物の基礎部分にシロアリの深刻な被害が見つかり、さらに裏山の斜面が崩れかかっており、大雨が降れば実家が倒壊して近隣を巻き込む危険な状態であることが判明しました。 私たちは提携する建築士や土地家屋調査士を動員し、「このまま放置すれば、近隣への損害賠償によりお母様の1,500万円の預金は一瞬で吹き飛ぶ危険性がある」「倒壊前に現状有姿で買い取ってくれる業者がいる『今』が、資産を守る最後のチャンスである」という分厚い意見書を作成。これを後見人経由で家庭裁判所へ提出しました。


【結果】 家庭裁判所の調査官もこの「客観的な倒壊リスクと損害賠償リスク」を重く受け止めました。結果として、「本人の財産を保全するため」という理由で、預金が十分にあるにもかかわらず異例の「居住用不動産処分の許可」が下りました。 実家は無事に建売業者へ売却され、母親の財産は安全な現金へと変換されました。役所的な判断しかしない裁判所に対し、不動産のプロの「物理的なエビデンス」をぶつけて壁を突破した事例です。



6. 結び:親の認知症対策は「ボケる前」の家族信託か、「ボケた後」の総力戦か


「うちの親はまだ元気だから大丈夫」 「もしボケても、家族なんだからどうにかなるだろう」


2026年現在、この油断は一族の資産を完全にフリーズさせる致命傷になります。親が認知症になってしまった後の不動産売却は、家庭裁判所という「融通の利かない巨大な壁」との戦いになります。


もし、ご両親がまだお元気で、契約内容を理解できる状態であれば、絶対に今のうちに「家族信託(かぞくしんたく)」などの生前対策を組んでおくべきです。これさえあれば、成年後見制度を使うことなく、子供の権限でスムーズに実家を売却できます。


・ご両親は今、自分の名前を書き、不動産を売る意味を正しく理解できますか?


・「成年後見制度」という言葉を聞いて、自分で申し立てをしようと考えていませんか?


・すでに後見人がついており、「家は売れない」と諦めて空き家を放置していませんか?


 親の財産が法という名のブラックボックスに閉じ込められてしまう前に。あるいは、閉じ込められてしまった箱をこじ開けるために。まずは私たちにご相談ください。

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