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相続知識

豊島区の実家相続と「信託銀行の遺言信託」の罠:安心のブランドに隠された高額報酬と、引き返せなくなる前の「辞退交渉」実務

1. そもそも信託銀行の「遺言信託」とは何か?


名前に「信託」とついていますが、認知症対策の「家族信託」とは全くの別物です。 信託銀行が提供する遺言信託とは、基本的には以下のサービスをパッケージにしたものです。


1.遺言書の作成サポート(親の希望を聞いて遺言案を作る)


2.遺言書の保管(親が亡くなるまで銀行の金庫で預かる)


3.遺言の執行(親が亡くなった後、銀行が「遺言執行者」となって預金の解約や名義変更の手続きを代行する)


「メガバンクなどの社会的信用のある組織が、第三者の立場で手続きをしてくれる」という安心感がウリであり、豊島区の昔からの地主や資産家の方に多く利用されています。しかし、いざ相続が発生してフタを開けてみると、子ども世代は厳しい現実に直面することになります。



2. 落とし穴1:極めて高額な「最低執行報酬」


最も相続人を驚かせるのが、銀行へ支払う手数料(遺言執行報酬)の高さです。


一般的な信託銀行の遺言執行報酬は「遺産総額の〇%」という形で規定されていますが、最大の罠は、「最低報酬額が100万円〜150万円(消費税別)」と高く設定されていることです。


例えば、豊島区の戸建て実家(評価額5,000万円)と預金1,000万円の遺産だった場合。「長男がすべて相続する」という極めてシンプルな内容であっても、銀行が動く以上、最低報酬である150万円を支払わなければなりません。街の司法書士に依頼すれば数十万円程度で済む内容であっても、ブランド代としてその数倍のコストがかかるのです。



3. 落とし穴2:「不動産の名義変更」は銀行ではやってくれない


「150万円も払うのだから、法務局の手続きも全部丸投げできるのだろう」と期待していると、ここでも裏切られます。


日本の法律(司法書士法)により、不動産の名義変更(相続登記)は、本人以外では「司法書士」しか代行することができません。 そのため、実家の名義変更は「銀行が提携している司法書士」に外注されることになり、銀行への執行報酬150万円とは【完全に別枠】で、司法書士への登記報酬や登録免許税が追加で請求されることになります。 「結局、不動産の手続きは別の専門家に丸投げされるのに、なぜ銀行に高い手数料を払うのか?」と不満を抱く相続人が後を絶ちません。



4. 最大の壁:銀行に「遺言執行」をストップさせることはできるか?


「そんなに高いなら、銀行には手続きを頼まず、自分たち(または地元の司法書士)でやります」と断れるのでしょうか。 実はここが、法律上最もシビアな駆け引きになります。


法律上、遺言で指定された銀行が「遺言執行者として手続きを開始します(就職します)」と正式に受諾した後は、相続人の一存ではクビ(解任)にできません。家庭裁判所に申し立てが必要になり、「手数料が高い」という理由だけでは裁判所は解任を認めてくれません。


そのため、費用を節約するには「銀行が正式に就職の手続きをする前(銀行からの書類にハンコを押す前)」に、相続人全員が結束して「当方たちで手続きを行うため、銀行には遺言執行者への就任を『辞退』していただきたい」と交渉する必要があります。 銀行側は「お父様との契約ですから」と抵抗してきますが、相続人全員が強硬に協力を拒んだ場合、実務が進められなくなるため、最終的に銀行側が折れて辞退(キャンセル)に応じるケースが多いのが実情です。



5. 【実例】巣鴨の実家・同意書にサインする直前で踏みとどまり、銀行と交渉して費用を100万円以上浮かせた事例


豊島区巣鴨にある実家(評価額6,000万円)と預貯金2,000万円を所有していた父親が亡くなり、長男・次男の2人が相続人となった事例です。


・課題


父親は生前、大手信託銀行の遺言信託を利用し、同銀行を遺言執行者に指定していました。 父親の死後、銀行の担当者が訪れ「遺言執行の手続きを開始しますので、こちらの『開始同意書』に皆様のご実印をお願いします。当行への報酬は最低額の165万円(税込)となり、実家の登記費用は別途かかります」と説明。 銀行担当者は「お父様のご遺志ですから、速やかに進めましょう」と押印を迫りましたが、兄弟はあまりの高額さに躊躇し「一度持ち帰って検討する」と伝え、当方へ駆け込んでこられました。


・プロの介入と解決


私たちは兄弟に「絶対にその同意書にはハンコを押さないでください。押した瞬間に引き返せなくなります」と伝えました。 兄弟間で遺産の分け方に一切の異論がないことを確認した上で、当方の提携司法書士・弁護士と共に信託銀行へ連絡を入れました。


銀行側は当初「故人との契約であり、当行には遺言を執行する義務がある」と就職辞退を渋りました。 しかし、こちらから「相続人全員が完全に合意しており、複雑な執行手続きは不要であること」「遺産の大半が不動産であり、当方指定の司法書士が登記を行うこと」「もし銀行が強行就職しても、相続人は一切の書類提出に協力しないこと」を論理的に通達しました。


・結果


「相続人全員が結束して反対しており、これ以上進めてもトラブルになるだけ」と判断した銀行側は、最終的に社内稟議を通して遺言執行者の「就職辞退」に同意しました。 その後、当方の提携司法書士が実家の名義変更と預金解約を代行し、報酬は合計約30万円で完了。兄弟はギリギリのところで銀行へ払うはずだった165万円の出費をカットし、実質130万円以上の遺産の流出を防ぐことに成功しました。



6. まとめ:銀行から出された書類に「安易に実印を押さない」


信託銀行の遺言信託は、遺産が数億円規模の金融資産で構成されているような大資産家にとっては頼りになりますが、「遺産のほとんどが豊島区の実家であり、相続人も仲が良い」という一般的なご家庭には、完全にオーバースペックでありコストに見合いません。


もし親御様が亡くなり、銀行から「遺言執行を開始します」という連絡が来た場合、絶対にその場で書類にサインや実印を押してはいけません。 一度でも承諾して銀行が「就職」してしまえば、高い手数料から逃れる術はほぼなくなります。


銀行の提示する費用に疑問を持ったら、手続きが動き出す前の「初動の段階」で、地元の不動産実務と法務に強い専門窓口へ必ずセカンドオピニオンを求めてください。

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