豊島区の実家と認知症の壁:親が施設に入っても家が売れない? 口座凍結・不動産塩漬けを防ぐ成年後見と家族信託の基礎知識

1. 豊島区で多発する「親が施設に入った後の実家問題」
豊島区(目白、南池袋、大塚、巣鴨、駒込、要町など)には、長年住み慣れた戸建てやマンションに暮らす高齢の親御様が多くいらっしゃいます。 親が高齢になり、認知症の症状が進むと、在宅介護が難しくなり、区内や近隣の特別養護老人ホームや有料老人ホームへ入居するケースが一般的です。
老人ホームの入居一時金や毎月の利用料(月額15万〜30万円前後)を支払うため、子供世代は「誰も住まなくなった実家を売却して、そのお金を介護費用に充てよう」と考えます。
しかし、いざ実家を売ろうと不動産会社や司法書士に相談した際、必ず行われるのが「名義人(親)本人への売却意思の確認」です。 ここで親が「自分がどこにいるか分からない」「家を売る意味が理解できない」状態になっていると、売買契約を結ぶことが法的に不可能になります。
2. なぜ認知症になると実家が売れなくなるのか?
日本の法律(民法)では、不動産の売買契約や銀行口座の解約などの重要な法律行為を行う際、本人に「意思能力(物事の損得や結果を正しく判断できる能力)」があることが絶対条件とされています。
意思能力がない状態で行われた契約は、法律上「無効」となります。 不動産会社や司法書士、買い主としても、後から「認知症で判断ができない親を騙して家を売った」として契約を取り消されるリスクを負うわけにはいかないため、契約手続きを完全にストップせざるを得ないのです。
その結果、以下のような三重苦に陥ります。
・実家を売却して現金化することができない
・親の銀行口座が凍結され、親自身の定期預金から介護費用を引き出せない
・子供たちが自分たちの給料や貯金から、毎月数十万円の施設費用を立て替え続けなければならない
3. 認知症になった後の唯一の手段「成年後見制度」とその限界
すでに親の認知症が進行してしまった場合、法的に実家を売却するための唯一の公的手段が、家庭裁判所に申し立てを行う「法定後見(成年後見制度)」です。
成年後見制度を使えば、家庭裁判所から選ばれた「成年後見人(弁護士や司法書士など)」が親の代わりに実家の売買契約を結ぶことができます。 しかし、この制度を使って実家を売却するには、非常に高いハードルが存在します。
家庭裁判所の「居住用不動産処分の許可」が必要 親が住んでいた家(実家)を売却する場合、後見人の独断では売れません。東京家庭裁判所に「実家を売却しなければならない正当な理由(預貯金が底をつき、施設費用を払うために売る必要がある等)」を書類で証明し、裁判所からの正式な許可を得る必要があります。もし親に十分な預貯金がある場合は、「売る必要性がない」として売却許可が下りないこともあります。
専門職後見人への「毎月の報酬」が一生続く 成年後見人として弁護士や司法書士が選任された場合、親が亡くなるまでの間、親の財産規模に応じて毎月2万〜5万円前後の報酬(一生涯で数百万円規模)が親の口座から自動的に引き落とされ続けます。
4. 親が元気なうちにできる最強の予防策「家族信託(かぞくしんたく)」
親の判断能力がしっかりしているうちに準備できるのであれば、成年後見制度のデメリットをすべて回避できる「家族信託」が最も有効な選択肢となります。
家族信託の基本の仕組み 家族信託とは、親(委託者)が元気なうちに、信頼できる子供(受託者)との間で「財産管理の契約」を結び、実家の名義(管理・処分権限)を子供へ移しておく仕組みです。
◆家族信託を結んでおくメリット
・実家の管理・売却権限が子供に移るため、将来親が重度の認知症になっても、子供自身のハンコ一つで実家を適正な価格で売却できます。
・売却して得たお金は「親のための信託口口座」で管理され、子供が親の施設費用や医療費として自由に支払うことができます。
・家庭裁判所の関与や許可が不要なため、スピーディーに売却活動が進められます。
・毎月の専門職への後見報酬も発生しません。
家族信託を組むためには、親に「契約内容を理解できるしっかりとした意識」があることが大前提となります。認知症の診断が下りてからでは契約を結ぶことができないため、「元気なうちの事前準備」がすべてとなります。
5. 【実例】南池袋の実家・認知症の兆候が出始めた段階で家族信託を組成し、施設費用をスムーズに捻出したケース
豊島区南池袋にある戸建て(評価額 4,800万円)に一人で暮らしていた80代の母親と、別居する長男のE様(50代)の事例です。
【課題】
母親に軽度の物忘れが出始め、要支援の認定を受けました。E様は「将来、母が施設に入ることになったら実家を売却して資金を作りたいが、その時に認知症が進んでいたら売れなくなるのでは」と不安になり、当方へご相談に来られました。
【プロの介入と解決】
私たちは母親と直接面談を行い、まだ判断能力が十分にあり、契約の意味を理解できる状態であることを確認しました。 直ちに、長男E様を受託者(財産の管理者)、母親を受益者(利益を受け取る人)とする「家族信託契約」を公正証書で作成し、実家の信託登記(名義変更)を完了させました。
それから2年後、母親の認知症が進行し、豊島区内の民間介護付き有料老人ホームへ入居することが決定しました。 入居一時金として1,500万円が必要になりましたが、E様は信託契約に基づき、受託者としての単独の権限で実家の売却活動を速やかにスタート。 家庭裁判所の手続きを挟むことなく、わずか2ヶ月で南池袋の実家を4,800万円で売却し、母親の入居一時金と今後の生活費をすべて売却代金からスムーズに支払うことができました。
6. まとめ:親が元気なうちに「実家をどうするか」を家族で話すことが最大の防衛
「親に認知症対策や財産の話をするのは気が引ける」と先送りにしているうちに、認知症が進行してしまい、実家を売ることも貸すこともできずに途方に暮れるご家族が後を絶ちません。
豊島区の実家は資産価値が高く、親の老後を支える貴重な資金源になります。 親がしっかりと会話ができる今のうちに、「将来施設に入ったら実家をどうするか」「誰が管理するか」を家族でオープンに話し合い、必要に応じて家族信託や任意後見などの法的な仕組みを整えておくことが、家族全員の安心につながります。
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