『豊島区の相続と「旧法借地権の更新・名義書換トラブル」』〜地主やお寺から『更新料・名義書換料1,000万円』を請求された! 相続時の承諾料不要ルール、法定更新の仕組みと理不尽な要求を退ける対抗実務〜

「親が亡くなり、豊島区内にある借地権の実家を相続した。地主へ名義変更の挨拶に行ったところ、『相続したのだから名義書換料として300万円、さらに来年契約満了を迎えるので更新料700万円、合わせて1,000万円を現金で払ってください。払えないなら土地を返してください』と言われて血の気が引いた……」
駒込、巣鴨、西池袋、雑司が谷など、寺院の所有地(寺町)や先祖代々の大地主が広大な敷地を持つ豊島区では、借地権付きの実家が今も無数に存在します。
地主側から突きつけられる高額な請求に対し、法律上の正しい知識を持たないまま言われるがまま現金を支払ってしまう相続人が後を絶ちません。法律(旧借地法・民法)に定められた借地人の強力な権利と、地主の不当な要求から身を守る実務手順を分かりやすく解説します。
1. 豊島区の借地権の9割以上は「旧借地法」の最強権利
大前提として知っておくべきなのは、平成4年(1992年)8月より前に結ばれた借地契約は、現在の「借地借家法」ではなく、旧法である「借地法(旧借地法)」がそのまま適用され続けるという点です。
豊島区内の住宅地にある借地権の実家は、昭和20年代〜50年代に契約されたものが大半であり、ほぼすべてがこの「旧借地法」に守られています。
旧借地法は、借地人(借り手)の立場を極めて強力に保護しているのが特徴です。
・契約期間:木造などの非堅固建物の場合は初回30年以上、更新後は20年。
・正当事由のない更新拒絶は無効:地主側が「自分で使いたい」「更新したくない」と言っても、裁判所が認める正当な事由(建物の老朽度や地主がどうしても土地を必要とする理由、高額な立ち退き料の提示など)がない限り、契約は自動的に更新されます。
つまり、借地人が地代(毎月の土地使用料)を遅れずに支払い続けている限り、地主が一方的に土地を奪い返すことは法律上不可能なのです。
2. 罠1:相続による「名義書換料(承諾料)」は1円も払う必要がない
地主や管理会社がよく仕掛けてくるのが、「親から子へ借地権の名義が変わったのだから、名義変更の手数料(承諾料)を払え」という請求です。
結論から申し上げますと、相続によって借地権を引き継いだ場合、地主の承諾は法的に一切不要であり、名義書換料を支払う義務も一切ありません。
他人に借地権を売却(譲渡)する場合は地主の承諾と承諾料が必要ですが、法定相続人への「相続」は包括承継(亡くなった人の権利義務を法律上そのまま引き継ぐこと)であるため、地主の承諾がなくても当然に借地権は子へ移転します(最高裁判所判例でも完全に確立しています)。
「昔からの慣習だから」「代が変わったのだから払うのが筋だ」と迫られても、法的な根拠はゼロですので、1円たりとも支払う必要はありません。
3. 罠2:契約書に記載がなければ「更新料」の支払義務もない
次に問題となるのが、20年ごとの契約更新のタイミングで請求される数百万円〜1,000万円単位の「高額な更新料」です。
ここでも驚くべき法的ルールが存在します。 日本の法律上、賃貸借契約書の中に「期間満了時には更新料として金〇〇円を支払う」という明確な特約条項(更新料特約)が存在しない場合、借地人は更新料を支払う義務はありません。
「更新料を払わないなら更新を拒絶する」と地主が脅してきたとしても、借地人が更新料の支払いを拒絶したまま土地を使い続ければ、法律上当然に契約が更新される「法定更新(ほうていこうしん)」が成立します。 法定更新が成立してしまえば、地主が更新契約書へのサインを拒否したとしても、従来の契約条件(地代の金額など)のまま、旧借地法に基づきさらに20年間住み続ける権利が法的に保障されます。
4. 地主が地代の受け取りを拒否してきた場合の「供託(きょうたく)」実務
更新料や名義書換料の支払いを突っぱねると、感情的になった地主やお寺の住職が「そんな勝手が通るか! 払わないなら今月からの地代は受け取らない!」と、銀行口座を解約したり集金を拒否したりすることがあります。
ここで絶対にやってはいけないのが、「地主が受け取らないから地代を払わずに放置すること」です。 地代を払わずに放置すると、たとえ地主側の受取拒否が原因であっても、後から地主から「地代の債務不履行(滞納)」を理由に借地契約を解除されてしまう危険が生じます。
地主が地代の受け取りを拒否した場合は、直ちに「法務局での供託(弁済供託)」を行います。 豊島区の不動産であれば、池袋駅東口・東池袋にある東京法務局本局(または最寄りの法務局)へ出向き、本来地主に支払うべき毎月の地代を法務局へ預け入れます。
法務局へ供託した時点で、法律上「地代を期日通りに支払った」ことと全く同一の効力が発生するため、債務不履行になるリスクを100%シャットアウトすることができます。
5. 【実例】巣鴨の借地・寺院からの1,000万円請求を拒絶し、支払額ゼロで法定更新を勝ち取った事例
豊島区巣鴨にある木造戸建て実家(敷地34坪・寺院所有の借地)を相続した長男のM様(50代・会社員)の事例です。
・課題
父親が他界した翌月、実家が建っている土地の所有者である寺院の代理人弁護士から内容証明郵便が届きました。
「被相続人の逝去に伴う名義書換承諾料として300万円、さらに本年満了を迎える借地契約の更新料として700万円、合計1,000万円を2ヶ月以内に納付されたい。納付なき場合は借地契約を解除し、更地返還を求める」という通告でした。 手持ち資金が少なく、1,000万円の大金を用意できないM様はパニックになり、当方へ駆け込んでこられました。
・プロの介入と解決
私たちはまず、実家の金庫に残されていた昭和40年代の当初の借地契約書と、前回の更新覚書を精査しました。 調査の結果、
1.相続による名義変更であり、第三者譲渡ではないため名義書換料の根拠がないこと
2.過去の契約書および更新書類のどこにも「更新料の支払い」に関する合意条項(特約)が一切記載されていないこと が判明しました。
私たちは提携弁護士と連携し、寺院側の弁護士宛てに受任通知と反論書面を送付。 「最高裁判例に基づき相続に伴う承諾料の支払義務はないこと」「契約書に更新料特約が存在しないため更新料の支払義務はなく、旧借地法に基づき法定更新を主張すること」「従来の地代を期限通りに支払い続けること」を論理的に通達しました。
寺院側は怒り心頭となり地代の受取口座を閉鎖したため、私たちは即座に東京法務局へ出向き、毎月の地代の「弁済供託」の手続きを完了させました。
・結果
法的な逃げ道がなくなった寺院側は、提訴(裁判)しても勝てないと悟り、半年後に態度を軟化。 最終的に、名義書換料300万円も更新料700万円も一切支払うことなく(支払額ゼロ円)、従来の地代据え置きのまま「法定更新」による契約継続を確定させました。 供託していた地代は寺院側が法務局から全額回収し、M様の実家の居住権は完全に守られました。
6. まとめ:地主の要求が「法的に正当か」を冷静に見極める
豊島区の借地権を巡るトラブルでは、「相手がお寺だから」「昔からお世話になっている大地主だから」と遠慮してしまい、法外な請求をそのまま受け入れてしまうケースが後を絶ちません。
しかし、不動産取引は感情ではなく法律と契約書がすべてです。 旧借地法に守られた借地権は、更地価格の6割〜7割に匹敵する極めて強力な財産権です。地主の言いなりになって権利を手放したり、不要な大金を支払ったりする必要は全くありません。
地主側から高額な更新料や承諾料を請求されたり、契約解除をちらつかされたりした場合は、自分でサインや口頭の約束をする前に、借地借家法と都心の不動産実務に精通した専門家へ必ずご相談ください。
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