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相続知識

豊島区の不動産売却と境界トラブル:測量図がない実家を売る危険性と、損害賠償を防ぐ「境界非明示・公簿売買」完全防衛マニュアル

1. 豊島区の密集地で「公簿売買・境界非明示」が地雷化する背景


不動産の売買には、大きく分けて以下の2つの方法があります。


・実測売買(確定測量渡し) 土地家屋調査士が隣接者全員と立ち会い、境界標(コンクリート杭や金属プレート)を打って境界確認書(筆界確認書)を交わし、ミリ単位で正確な面積を出して引き渡す方法。都心の不動産取引における標準ルールです。


・公簿売買(現況有姿・境界非明示渡し) 明治・大正時代に作られた古い登記簿の面積(公簿面積)のまま取引し、現地の境界標も明示せず、実際の面積が登記簿と増減していても代金の精算を一切行わない方法。


豊島区の密集地では、


「お隣と長年仲が悪く、立ち会いのハンコをもらえない」


「相続税の納付期限(10ヶ月)が迫っており、測量にかかる3〜4ヶ月を待てない」


「売却費用として数十万円の測量費を先出ししたくない」 といった事情から、公簿売買を選択するケースが多々あります。


しかし、豊島区の古い土地は、登記簿に書かれた面積と実際の敷地面積が2割〜3割も食い違っている(縄伸び・縄縮み)ことが珍しくありません。境界標が1つもないまま一般の個人買い主に引き渡せば、解体工事やお隣との外構工事の段階で必ず激しい領土紛争が勃発します。



2. 「現状渡しだから責任はない」は通用しない! 民法上の落とし穴


売主が最も誤解しているのが、「契約書に『現況有姿(現状渡し)』『契約不適合責任免責』と書いておけば、売主は何を言われても法的に無敵である」という思い込みです。



罠1:売主の基本義務である「境界明示義務」


不動産売買契約において、売主には「引き渡す土地の範囲を現地で明示する義務(境界明示義務)」が民法上の附随義務として原則存在します。 契約書の特約条項で「境界標の明示を一切行わない」と極めて厳格かつ具体的に免除合意を明記していない限り、買主から「境界がどこか分からないから引き渡し義務が履行されていない」と主張され、損害賠償や契約解除を突きつけられる判例が多数存在します。



罠2:「知っていたのに告げなかった事実」は免責されない(民法第572条)


民法第572条では、「売主は、契約不適合責任を免除する特約をしたときであっても、自ら知っていた事実等についてはその責任を免れることができない」と定められています。 もし生前、親がお隣と「ブロック塀の位置で揉めたことがある」「雨樋が越境していると文句を言われたことがある」という事実を知りながら、それを「物件状況等報告書(告知書)」に記載せず「境界非明示」で売った場合、売主の告知義務違反(悪意・重過失)とみなされ、免責特約は一発で無効になります。



3. 測量なし・境界非明示で売却する際の「3大必須防衛策」


どうしても確定測量を行わずに売却せざるを得ない場合、後からの裁判や賠償請求を完全にシャットアウトするために、以下の実務防衛を徹底してください。


・防衛策1:重畳的な「境界非明示特約」を契約書に組み込む


単に「現況有姿とする」という一言で済ませてはなりません。契約書および重要事項説明書に、以下の旨を具体的に明記します。


1.売主は買主に対し、現地における境界標の指示・明示、および境界確認書の交付義務を一切負わないこと


2.本物件の登記簿面積と実測面積に差異があっても、売買代金の増減請求や契約解除は行えないこと


3.引渡し後、隣接地所有者との間で境界に関する紛争が生じた場合、買主自らの責任と費用負担において解決し、売主に対して金銭的・法的な請求を一切行わないこと


・防衛策2:過去の経緯を「物件状況確認書」に包み隠さず書き切る


「お隣との境界標が見当たらない」「ブロック塀の所有権がどちらにあるか不明である」「過去に親から越境の指摘を聞いた記憶がある」など、些細な懸念であってもすべて書面に記載し、買主の署名・捺印をもらいます。「買主がそのリスクを承知の上で納得して安く買った」という証拠を残すことが最大の盾となります。


・防衛策3:一般個人ではなく「プロの宅建業者(買取デベロッパー)」へ売却する


最も安全確実な脱出ルートです。 一般の個人買い主は法律や建築の素人であるため、引き渡し後にトラブルを起こしがちです。一方、宅建免許を持つ不動産買取業者へ売却する場合、買主がプロであるため、契約不適合責任の完全免責が法的に強固に認められます。業者は買い取った後に自社の費用とリスクで測量を行い、お隣と交渉して境界を確定させるため、売主が後から損害賠償を請求されるリスクは実質ゼロになります。



4. 【実例】南大塚の築古戸建て・隣人との立ち会い不能から、プロ買取への切り替えで賠償リスクをゼロにして4,900万円を着金させた事例


豊島区南大塚にある木造戸建て実家(昭和44年築・公簿面積28坪)を相続した長男のK様(50代・会社員)の事例です。


・課題


K様は実家を更地にして一般仲介で売り出そうとしました。 しかし、土地家屋調査士を入れて確定測量を始めたところ、東側の隣人(過去に境界トラブルを起こしていた高齢者)が「親父さんの代に騙されて境界杭を動かされた! 測量の立ち会いも境界確認書のハンコも絶対に押さない!」と激怒し、測量作業が完全にストップしてしまいました。 仲介会社からは「境界確定ができないと、一般個人への売却は住宅ローンが通らないため不可能です。強引に公簿売買で一般個人へ売ることもできますが、引き渡し後に隣人と揉めて訴訟になるリスクが極めて高いです」と言われ、K様は当方へ駆け込んでこられました。


・プロの介入と解決


私たちは状況を精査し、「一般の個人買い主へ境界非明示で売却するのは、将来の損害賠償爆弾を抱える自殺行為である」と判断しました。 隣人の性格上、相続人個人が何度頭を下げてもハンコをもらえる見込みはありません。


そこで私たちは、一般仲介を即座に取り下げ、豊島区内の難あり宅地の仕入れ・再生を得意とする大手建売ビルダー3社へ入札をかけました。 条件として、


1.確定測量図および境界確認書の引き渡し義務の完全免除


2.境界非明示・現況有姿・公簿売買


3.隠れた欠陥に対する売主の「契約不適合責任の完全免責」 を契約条件の絶対条件として提示しました。


・結果


入札の結果、ある建売ビルダーが「境界確定および隣人との筆界特定手続き(法務局での公的手続き)は自社の費用と法務部で引き受ける」という条件を提示。 相場通りの満額評価である「4,900万円」での現状有姿買取が成立しました。 K様は測量費用(約70万円)の追加出費を抑えられただけでなく、隣人との泥沼の紛争や、将来の買主からの損害賠償請求の恐怖から完全に逃げ切ることができました。



5. まとめ:境界が曖昧な実家は「売り先の選択」で勝敗が決まる


土地の境界線がハッキリしない豊島区の実家を売る際、最もやってはいけないのは「測量費用をケチりたいからといって、適当な特約のまま一般の個人買い主へ売ってしまうこと」です。


一般の個人への売却では、いくら契約書に免責条項を並べても、裁判になれば「信義則違反」や「説明義務違反」を問われて売主が敗訴し、数百万円単位の賠償金を命じられる事例が後を絶ちません。


境界標がない、お隣と揉めていて測量図が作れない土地を相続した場合は、無理に個人仲介で売ろうとせず、完全免責を受け止めてくれるプロの買取業者への売却に舵を切るか、土地家屋調査士と弁護士を入れて法的に筆界を特定した上で売り出すことが、家族の財産を将来の訴訟リスクから守る確実な選択となります。

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