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相続知識

豊島区の築古アパート相続:老朽化アパートの建て替え・売却を阻む「立ち退き問題」の解決手順と立ち退き料相場

1. 豊島区に多い「昭和の木造アパート」が抱えるリスク


豊島区の池袋本町、上池袋、要町、南長崎、長崎などの住宅街には、昭和40年代から50年代にかけて建てられた「木造2階建てアパート(いわゆる風呂なし・共同トイレのアパートや文化住宅)」が今も点在しています。


親の代は満室でしっかり稼いでくれたアパートも、相続した子供世代にとっては以下のような重いリスクとなります。


・空室だらけで家賃収入がほとんどない(数世帯しか住んでいない) ・木造密集地域に建っているため、大地震による倒壊や火災の延焼リスクが高い ・高齢の入居者が多く、室内での孤独死や事故物件化の不安が常にある ・毎年の固定資産税や維持補修費がかかり、赤字になっている


「これ以上持っていても危ないから、全員に退去してもらって更地にして売却したい」と考えるのは自然な流れです。しかし、日本の法律の壁が立ちはだかります。



2. なぜオーナーの都合で簡単に出ていってもらえないのか?


「自分のアパートなんだから、『建て替えるから〇月末までに出ていってください』と言えば済むだろう」と考えるのは大きな間違いです。


日本の「借地借家法(しゃくちしゃっかほう)」という法律は、住む場所を失う入居者を徹底的に保護するように作られています。 アパートの所有者(大家)から賃貸借契約を解除したり、更新を拒否したりするためには、裁判所が認めるレベルの「正当な事由(せいとうなじゆう)」が必要です。


単に「古くなったから」「土地を高く売りたいから」という大家側の都合だけでは、正当事由として認められません。 耐震診断で「倒壊の危険性が極めて高い」と判定されている場合であっても、裁判所は「老朽化の事実」に加えて、「大家側が十分な立ち退き料(引っ越し代や次の住居の費用)を支払うこと」をセットにして初めて契約解除を認めるのが通例です。



3. 立ち退き料の相場と、円満退去のための3大ステップ


入居者に無理やり退去を迫って裁判沙汰(立ち退き訴訟)になると、解決までに1〜2年以上の時間と数百万円の弁護士費用がかかります。実務では、丁寧な個別交渉によって「合意退去」を目指すのが鉄則です。


・ステップ1:豊島区の立ち退き料相場を把握する


立ち退き料に法的な定価はありませんが、実務上の一般的な相場は「家賃の6ヶ月〜12ヶ月分(約50万〜100万円前後)」が目安となります。 内訳としては、 ・近隣の新しいアパートを借りるための初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・前家賃) ・引っ越し業者の実費 ・現在の家賃と新しいアパートの家賃の差額(1〜2年分) これらを合算した金額を提示するのが一般的です。


・ステップ2:高齢入居者には「次の住まい」を一緒に探してあげる


豊島区の古いアパートの立ち退きで最も難航するのが「高齢の単身入居者」です。 高齢者は「お金をもらっても、年齢を理由に他の不動産屋で賃貸の入居審査を落とされる」ため、出ていきたくても出ていけない恐怖を抱えています。 お金を渡すだけでなく、提携する不動産会社を通じて「高齢者でも入居できる近隣の賃貸物件」を実際に何件か見つけて案内してあげる(次の住まいを確保してあげる)ことが、最も強力な解決策になります。


・ステップ3:「賃貸借契約の合意解約書」を必ず取り交わす


口約束で退去日を決めるのは絶対にNGです。「〇月〇日までに退去すること」「立ち退き料〇〇万円を鍵の返却と引き換えに支払うこと」「残った荷物は処分してよいこと」を明記した『合意解約書』に実印で署名・押印をもらい、退去の確約を取ります。



4. 立ち退き完了後の「3つの選択肢」


無事に全員の退去が完了し、アパートが空っぽになった後の出口戦略です。


・選択肢1:更地にして売却する


豊島区の不燃化特区助成金(第148回で解説)などを活用して建物を解体し、綺麗な更地にしてハウスメーカーや建売業者へ売却します。敷地が30〜50坪以上あれば、相場の満額(数千万円〜1億円超)で最も高く売却できます。


・選択肢2:新しい賃貸マンションや戸建て賃貸へ建て替える


豊島区の賃貸需要の高さを生かし、耐火構造の新しいアパートやRC造マンションを新築して、安定した家賃収入を得る資産へと再生させます。


・選択肢3:立ち退きを諦めて「オーナーチェンジ」で現状売却する


入居者との交渉が難航し、自分では立ち退きを進める体力や時間がない場合。入居者が住んだままの状態で、古いアパートの再生を得意とする専門の不動産買取業者へ「オーナーチェンジ」として売却します。売却価格は多少下がりますが、あなたが1円の立ち退き料も払わず、交渉の手間もゼロで即座に現金化できます。



5. 【実例】椎名町の築48年アパート・高齢入居者への転居先斡旋で半年で全員退去・7,000万円で更地売却した事例


豊島区南長崎(椎名町駅徒歩圏内)にある木造アパート(全6戸・築48年)を相続した長男のK様(50代)の事例です。


・課題: 6戸中4戸が空室で、残りの2戸に70代と80代の高齢者が長年住んでいました。毎月の家賃収入は合計8万円程度に対し、固定資産税や修繕費で年間収支はほぼトントン。K様は更地にして売却したいと考えましたが、自分で住人に退去をお願いしたところ「行く場所がない」と泣きつかれ、途方に暮れて当方へご相談に来られました。


・プロの介入と解決: 私たちはK様の代理として、入居者2名と個別に面談を行いました。 入居者が拒絶していた本当の理由は「立ち退き料の金額」ではなく、「この歳で自分を受け入れてくれる新しい部屋が見つからない恐怖」でした。


私たちは豊島区内で「高齢者の入居を歓迎している大家さん」の物件を自社ルートで探し出し、車で入居者をお連れして内見を実施。近隣の綺麗でバリアフリーなアパートへの入居審査を通しました。 その上で、新居の初期費用と引っ越し代、生活準備金をカバーする「立ち退き料(各80万円)」を提示し、円満に合意解約書を締結しました。


・結果: 相談からわずか半年で全員の退去が完了。 その後、豊島区の老朽建築物除却助成金を活用して解体費用を抑えて更地化し、大手住宅メーカーへ「7,000万円」で売却。K様は多額の現金を手にして相続問題を完全に解決されました。



6. まとめ:立ち退きは「法律論」ではなく「相手への配慮」で決まる


古いアパートを相続した際、一番やってはいけないのは、弁護士の名前でいきなり威圧的な内容証明を送りつけたり、自分で怒鳴り込んで強引に出ていかせようとしたりすることです。感情的になった入居者は意地でも居座り、泥沼の裁判へと発展してしまいます。


立ち退き交渉の成功の秘訣は、相手が何を不安に思っているのか(お金なのか、次の住居なのか)を丁寧に聞き出し、受け皿を用意してあげることに尽きます。


「うちの古いアパートも住人がいて売れない」とお悩みの方は、無理にご自身で交渉しようとせず、賃貸管理と立ち退き実務に精通した不動産のプロに相談することをお勧めします。

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