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相続知識

豊島区の空き家バンク・地域貢献活用完全ガイド:実家を地域のために貸す? 売却・一般賃貸との違いと判断基準

1. 豊島区役所が力を入れる「空き家地域貢献活用」とは?


豊島区役所(都市計画部住宅課)の窓口やホームページを見ると、「空き家地域貢献等活用支援事業」や「としま空き家マッチング」といった取り組みが紹介されています。


地方の自治体にある一般的な「空き家バンク」は、単に移住者に家を売ったり貸したりする不動産情報サイトのような役割が中心です。 しかし、豊島区の制度は少し特殊で、「放置すると危険な空き家を、地域のコミュニティサロン、子育て支援施設、高齢者の居場所、アート活動の拠点などに生まれ変わらせる」ことを主眼に置いています。


「ボロボロで一般の不動産市場では貸せない実家でも、区の制度を使えばリフォーム費用の補助金をもらって再生できるかもしれない」ということで、実家を相続した方の注目を集めています。



2. 豊島区の空き家活用制度を使う「3大メリット」


区の支援制度やマッチングを活用する場合、民間の不動産会社にはない行政ならではの大きなメリットがあります。


◆メリット1


高額な「改修工事補助金」が出る場合がある 空き家を地域貢献施設として活用する場合、耐震改修工事やバリアフリー化、内装リフォーム費用に対して、豊島区や東京都から数十万円〜数百万円規模の手厚い助成金・補助金が出る制度があります。自己資金を抑えて建物を修繕できるのは大きな強みです。


◆メリット2


一般市場では借り手がつかない古い家でも生かせる 昭和の古い間取りで、お風呂やキッチンが旧式であっても、「子ども食堂」「高齢者の憩いの場」「アトリエ」といった用途であれば、そのまま、あるいは簡易な改装だけで喜んで借りてくれるNPOや地域団体が見つかることがあります。


◆メリット3


生まれ育った実家が「街の役に立つ」精神的満足感 親が大切に守ってきた家を他人に安く買い叩かれるのではなく、地域住民に愛される拠点として残すことができるため、心理的な納得感や満足感が非常に高い活用法です。



3. 必ず知っておくべき「厳しい現実(デメリット・制限)」


一方で、行政の制度である以上、民間での売却や賃貸と比べて厳しいルールやデメリットが存在します。ここを理解せずに飛び込むと、後から激しく後悔することになります。


◆デメリット1


家賃収入(リターン)は低く設定される 借り手となるのは利益を追求しないNPO法人やボランティア団体、福祉事業者などが中心です。そのため、受け取れる家賃は、近隣の相場家賃よりも大幅に低く(場合によっては相場の半分程度に)抑えられるのが一般的です。「実家でお小遣い稼ぎをしたい」という方には向きません。


◆デメリット2


「年数の縛り」があり、途中で売ったり壊したりできない 補助金を受け取って地域貢献施設として貸し出す場合、「最低5年(または10年)以上は地域のために使い続けなければならない」といった厳しい年数制限(活用期間の縛り)が設けられます。途中で「やっぱりまとまったお金が必要になったから売りたい」と思っても、補助金の返還を求められるため、自由な処分ができなくなります。


◆デメリット3


利用できる物件の条件(耐震性など)が厳しい 不特定多数の地域住民が出入りする場所になるため、耐震診断を行い、一定の耐震基準を満たすことが必須要件となるケースがほとんどです。旧耐震基準(昭和56年以前)の建物の場合、耐震補強工事に多額の自己負担が発生するリスクがあります。



4. 「民間で売却・賃貸」vs「行政の空き家活用」の判断基準


実家をどうすべきか迷った際は、以下の基準で判断することをお勧めします。


◆行政の空き家活用制度が向いているケース


・「親が愛した家を絶対に壊したくない、残したい」という想いが強い


・毎月の高い家賃収入は求めておらず、建物の維持費(固定資産税や最低限の修繕費)が賄えれば十分である


・今後10年程度、実家を売却して現金化する必要性が全くない


◆民間の不動産売却・一般賃貸が向いているケース


・実家を現金化して、兄弟で遺産をスッキリ公平に分けたい


・まとまった現金を確保して、自分たちの生活費や住宅ローンの返済に充てたい


・豊島区の好立地を生かし、相場通りの高い家賃収入(投資リターン)を得たい


・建物の維持管理の責任から完全に解放されたい



5. 【実例】千川の古い平屋・売却せずに地域の子育てサロンとして再生した事例


豊島区千川にある亡き両親の実家(木造平屋建て・敷地30坪・築55年)を相続した長女のS様(50代)の事例です。


◆課題


実家は路地の奥にあり、車が入らないため、不動産会社からは「更地にしても再建築の条件が厳しく、二束三文にしかならない」と言われていました。S様自身も「親が丹精込めて手入れしていた庭や建具を壊したくない」と強く希望されていました。


◆プロの介入と解決


私たちは豊島区の「空き家活用支援窓口」と連携し、地域で子育て支援活動を行っているNPO法人をご紹介しました。 NPO法人は「アットホームな畳の空間で、親子が気軽に集まれるサロンを開きたい」と物件を大変気に入り、借主として名乗りを上げました。


区の「空き家地域貢献等活用支援事業」の事前審査を通過させ、耐震補強と水回りの簡易改修工事に対して区から約200万円の補助金を獲得。不足分の数十万円だけをS様が負担し、安全な施設へと改修しました。


◆結果


実家は取り壊されることなく、地域の親子が集まる温かいサロンとして再スタートを切りました。 家賃収入は月額6万円と相場よりは控えめですが、固定資産税を払っても毎年手元に利益が残り、建物の草むしりや換気もNPO法人が日常的に行ってくれるため、S様は管理の手間から解放されました。「両親が一番喜ぶ形で実家を残すことができた」と大変満足されています。



6. まとめ:実家の「想い」と「経済合理性」のバランスを見極める


豊島区の空き家活用制度は、「お金儲け」のための仕組みではなく、「実家を壊さずに地域のために生かす」ための福祉的・社会的な制度です。


実家をどうするか決める際は、家族全員で「実家への思い入れ」と「今後のライフプランに必要なお金」のどちらを優先するのかを率直に話し合うことが欠かせません。


もし「実家を地域のために使いたい」とお考えであれば豊島区役所の住宅課へ、「適正な価格で売却したい、あるいは一般向けに貸したい」とお考えであれば地域の不動産会社へ相談し、双方の選択肢をフラットに比較して納得のいく答えを出してください。

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