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相続知識

豊島区の空き家放置は命取り! 改正法で狙われる「管理不全空家」と固定資産税6倍化を防ぐ基本実務

1. 「家さえ残しておけば固定資産税は安い」という時代の終わり


これまで、多くの人が空き家を解体せずに放置してきた最大の理由は、税金の仕組みにありました。


土地の上に人が住む「家」が建っていれば、固定資産税が通常の「6分の1」、都市計画税が「3分の1」に減額される「住宅用地の特例」という強力な減税措置が適用されます。 そのため、「更地にすると固定資産税が約6倍に跳ね上がるから、ボロボロでも家を残しておいた方が得だ」という歪んだ動機が生まれ、全国で危険な空き家が増え続ける原因となっていました。


しかし、法改正(改正空家等対策特別措置法)によって、この抜け道は完全に塞がれました。 放置された空き家に対する行政の権限が大幅に強化され、危険な状態になる手前の段階から、税制上のペナルティを課すことができるようになったのです。



2. 新設された「管理不全空家」とは? どのような状態が危険なのか


以前の法律では、今にも倒壊しそうな「特定空家(とくていあきや)」に認定されない限り、税金の優遇は外されませんでした。 しかし、新設された「管理不全空家」は、いわば特定空家の「予備軍」です。放置すれば特定空家になる恐れがある段階で、行政が指定できるようになりました。


豊島区の住宅街において、管理不全空家として目をつけられやすいのは以下のような状態です。


・窓ガラスが割れたまま放置されている、雨戸が外れかけている


・庭の草木が生い茂り、お隣の敷地や道路へ大きくはみ出している(越境)


・屋根の瓦やトタン、雨樋が浮いており、強風で飛散する危険がある


・郵便ポストにチラシが溢れかえり、敷地内にゴミが投げ込まれている


・害虫やネズミ、野良猫などが住み着き、悪臭が発生している


「外壁に少しヒビが入っている程度」「たまに草むしりに行っているから大丈夫」と思っていても、近隣住民から区役所へ通報が入れば、区の職員が現地調査に訪れ、管理不全空家のリストへ入れられてしまいます。



3. 豊島区役所からの「勧告」で特例解除、税金が最大6倍へ


区役所が空き家を取り締まる際、いきなり増税されるわけではありません。段階的なステップを踏みます。


◆ステップ1


現地調査と「助言・指導」 区の担当部署から所有者へ、「草木を伐採してください」「窓を修繕してください」といった指導通知が届きます。この段階で速やかに改善すれば問題ありません。


◆ステップ2


改善されない場合の「勧告(かんこく)」 指導を無視し続けると、区から正式な「勧告」が出されます。 この「勧告」を受けた瞬間、住宅用地の特例(1/6減額)が強制的に解除されます。 その結果、翌年度から土地の固定資産税が本来の満額(最大6倍)へと跳ね上がり、都市計画税も3倍に増額されます。


例えば、年間10万円程度で済んでいた実家の土地の固定資産税が、年間数十万円の請求書となって突然届くことになります。


◆ステップ3


さらに悪化した場合の「命令」と「過料・行政代執行」 特定空家に悪化し、区からの改善「命令」にも従わない場合、最大50万円の過料(罰金)が科されます。最悪の場合、区が強制的に建物を解体する「行政代執行」が行われ、その数百万円に及ぶ解体費用はすべて所有者へ請求され、財産が差し押さえられます。



4. 豊島区が空き家の取り締まりに本気である理由


「そうは言っても、区役所も人手不足だし、うちの実家くらい見逃してくれるのでは」と甘く見るのは極めて危険です。


豊島区は池袋本町、上池袋、長崎、南長崎、雑司が谷など、古い木造住宅が密集しているエリアを区内に多数抱えています。 大地震や火災が起きた際、放置された空き家が1軒倒壊して道路を塞ぐだけで、消防車や救急車が入れなくなり、街全体が焼き尽くされる大惨事になりかねません。


そのため、豊島区は「空き家対策推進計画」を策定し、地域の防災と住環境を守るため、他の自治体以上に空き家のパトロールと近隣からの苦情対応を厳格に行っています。近隣住民の防災意識も高いため、少しの越境や荒れ具合でもすぐに区役所へ連絡が入る環境にあるのです。



5. 【実例】南長崎の空き家・区からの指導書を機に現状売却し、増税と管理地獄から脱出したケース


豊島区南長崎にある古い実家(木造2階建て・築45年)を相続した長男のF様(50代・会社員)の事例です。


・課題


F様は実家から電車で1時間ほどの場所に住んでおり、仕事の忙しさから実家の手入れを1年以上放置していました。 夏場を過ぎた頃、庭の植木が隣の家のベランダに届くほど伸び、野良猫が敷地内に糞尿をするようになったため、お隣さんが豊島区役所へ通報。 F様の自宅に、区役所から「管理不全な状態を早急に改善するように」という警告文(指導文書)が届きました。


・プロの介入と解決


驚いたF様は当方へご相談に来られました。 「植木の伐採や網戸の修理だけで数十万円かかるし、この先も年数回通って手入れし続ける体力はない。かといって勧告を受けて固定資産税が何十万円も跳ね上がるのは絶対に避けたい」とのことでした。


私たちは、区役所の担当窓口へ「現在、売却に向けて専門業者が入って対応中である」旨を速やかに連絡し、勧告手続きへ進むのを一時ストップさせました。 その上で、建物の修繕や草木の手入れを売主側で一切行わず、現況のまま買い取ってくれるリノベーション再販会社をマッチングしました。


・結果


相談からわずか1ヶ月で、残置物(家財道具)も庭木もそのままの状態で「3,400万円」で売買契約が完了。 F様は自腹で草むしりや修繕をする手間も費用もかけず、固定資産税の6倍増税を完璧に回避し、実家を安全に現金化することができました。



6. まとめ:実家の放置は百害あって一利なし。「売る・貸す・適正管理」の決断を


「とりあえず空き家のまま持っておく」という選択肢は、法改正によって極めてリスクの高い「損する選択」へと変わりました。


空き家を維持し続けるのであれば、定期的に通って換気と草むしりを行うか、月数千円〜1万円程度の民間「空き家管理サービス」を利用して、区から目をつけられない状態を保つ必要があります。


もし今後誰も住む予定がないのであれば、管理不全空家に指定されて税金が跳ね上がる前に、


・「不燃化特区の解体助成金」を使って更地にして売却する


・「3,000万円特別控除(相続から3年以内)」を使って無税で売却する


・現状のまま買い取ってくれる専門業者へ手放す


といった出口戦略を早急に実行することが、ご自身の大切な資産を守る最も賢明な道です。

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