豊島区のがけ地・擁壁付き実家の相続売却:東京都安全条例第6条の壁と、大谷石擁壁の巨額改修費を避ける再生実務

今回のテーマは、起伏に富んだ地形を持つ豊島区の南部・西部エリアで特に問題となりやすい、「『豊島区の「擁壁・がけ条例」が絡む実家相続の壁』〜雑司が谷・高田・目白の傾斜地に建つ実家! 昭和の大谷石擁壁、東京都安全条例第6条、解体後の再建築不可や巨額の改修費を回避する売却実務〜」です。
「親が亡くなり、高台にある豊島区内の実家を売却しようとしたが、不動産会社から『敷地と道路の間に3メートルの古い擁壁(ようへき)がありますね。東京都のがけ条例に引っかかるため、擁壁を造り直さないと家が建てられません。改修費用だけで800万円以上かかります』と言われて愕然とした……」
武蔵野台地の東端に位置する豊島区は、平坦なエリアばかりではありません。目白台から神田川へ向かって下る「高田」「雑司が谷」、あるいは谷端川沿いの低地と台地の境目にあたる「南長崎」「千早」などの周辺には、2メートル以上の高低差や古い石積みの擁壁を抱えた敷地が多数存在します。
知らずに建物を解体してしまうと「二度と家が建てられない」事態に陥る擁壁問題の法規制と、巨額の出費を回避して適正価格で売却するための基本実務を分かりやすく解説します。
1. 豊島区の段差に潜む「昭和の大谷石擁壁」の崩壊リスク
昭和30〜40年代の宅地開発時、傾斜地をひな壇状に造成する際によく使われたのが、柔らかく加工しやすい「大谷石(おおやいし)」や無筋コンクリートブロックを積み上げた擁壁です。
新築から50年以上が経過した現在、これらの古い擁壁は以下のような深刻な劣化に直面しています。
・大谷石の風化と崩落:雨水や排気ガスで石の表面がポロポロと剥がれ落ち、内部の強度が失われている。
・「ハラミ(孕み)」現象:背後の土圧や水圧に耐えきれず、擁壁の中央部が道路側へ弓なりに膨らみ、倒壊寸前になっている。
・水抜き穴の詰まりや欠如:擁壁に水抜きパイプがない、あるいは土砂で詰まっており、大雨のたびに内側に地下水が溜まって破裂の危険を抱えている。
もし大地震や集中豪雨で擁壁が崩れ、下の道路や隣家を押し潰してしまった場合、所有者(相続人)は民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)に基づき、数千万円〜数億円単位の巨額の損害賠償責任を個人で負うことになります。
2. 建て替えを阻む「東京都安全条例第6条(がけ条例)」の壁
老朽化した実家を壊して新築しようとする際、最大の障壁となるのが「東京都安全条例第6条(通称:がけ条例)」です。
条例では、「高さ2メートルを超えるがけ(傾斜度が30度を超える土地)」の上または下に建物を建てる場合、原則として安全な擁壁を設置しなければならないと義務付けられています。
ここで問題になるのが、「昭和の擁壁は、現代の建築基準法を満たしていない(既存不適格または違法擁壁である)」という点です。 当時、行政から交付されたはずの「建築確認済証」や「検査済証」が残っていない擁壁は、役所や指定確認検査機関から「安全性が確認できない危険ながけ」とみなされます。
その結果、
・古い擁壁を取り壊し、鉄筋コンクリート造(RC造)の擁壁を基礎から造り直す必要がある(工事費:500万〜1,000万円以上)
・擁壁の改修を行わない限り、豊島区役所から新築の建築確認が下りない
・買い手側が工事リスクを嫌気し、一般市場で全く買い手がつかない
という事態に追い込まれます。
3. 巨額の擁壁やり直し工事を回避する「3大打開策」
擁壁の再構築に数百万円〜1,000万円を投じても、土地の売却価格がその分高くなるわけではありません。手元の資金を失わないためには、以下の代替ルートで建築許可や売却の道筋を立てることが鉄則です。
打開策1:「安息角(あんそくかく)」まで建物をセットバックさせる
擁壁を造り直さず、がけの崩壊ラインから建物を離して建築する手法です。 がけの下端から「がけの高さの2倍」以上離れた安全な位置まで建物を後退(セットバック)させて建築計画を立てます。敷地面積にゆとりがある土地であれば、擁壁に1円も手を加えることなく、そのまま新築の建築確認を取得することが可能です。
打開策2:「深基礎工法」や「杭基礎」による構造計算クリア
建物を後退させるスペースがない狭小敷地の場合、建物の基礎の一部を地中深く(がけの安全な崩壊線より下)までコンクリートで伸ばす「深基礎工法」や、鋼管杭を岩盤まで打ち込む工法を採用します。 「万一、目の前の擁壁が崩れたとしても、建物自体の基礎が頑強に自立しているため倒壊しない」という構造計算書を建築士が作成して行政に認めさせることで、高額な擁壁工事をパスすることができます。
打開策3:解体前に「擁壁リスク込み」でプロのビルダーへ現状売却する
相続人が自腹で800万円の擁壁工事費を払う必要はありません。 都心部で擁壁付き土地の造成・建築を得意とする建売デベロッパーは、自社の設計ノウハウや提携施工業者を使い、一般人が頼む半値以下のコストで深基礎や擁壁補修を施工できます。 「擁壁のやり直し費用」をあらかじめ査定価格に織り込ませた上で、契約不適合責任免責の現状有姿でデベロッパーへ売却してしまえば、手出し資金ゼロで安全に現金化を完了できます。
4. 【実例】高田の高低差3m敷地・改修費800万円の宣告から、深基礎設計を提案するビルダーへ4,100万円で売却成功
豊島区高田にある木造2階建て住宅(敷地31坪・南側道路との間に高さ3メートルの大谷石擁壁あり)を相続した長男のD様(50代・会社員)の事例です。
・課題
D様は大手仲介会社に売却を依頼しました。 しかし、不動産会社から「大谷石擁壁に検査済証がなく、一部にひび割れがあるため、東京都安全条例に抵触します。土地として売るには擁壁のやり直しと解体で約850万円かかります」と告げられました。 手持ち資金が少なく、850万円の先払いができないD様は途方に暮れ、当方へご相談に来られました。
・プロの介入と解決
私たちは現地を詳細に測量・調査し、地盤の硬さを確認しました。 「前面道路の幅が広く、日当たりが抜群の一等地であるため、擁壁を壊さなくても深基礎設計を用いれば十分に採算が合う」と判断。
一般の個人向け仲介を即座に取り止め、都内の傾斜地施工に強い大手建売ビルダー3社へ入札をかけました。 その際、当方の提携一級建築士が作成した「深基礎および杭打ちによるがけ条例クリアの参考プラン図」を添付し、買い主側が過大な擁壁解体費を差し引かないよう論理的に防衛しました。
・結果
ある建売事業者が、「擁壁の補修および深基礎工事の費用を自社で吸収する」という条件で、現状有姿・「4,100万円」での買取を提示。 D様は自己資金を1円も持ち出すことなく、相談からわずか1ヶ月で売買契約と決済を完了させました。 「800万円以上の借金を背負って工事をしなければ売れないと絶望していたので、そのままの状態で適正価格で引き取ってもらえて本当に救われました」と深く感謝されました。
5. まとめ:擁壁のある実家は「絶対に先に壊して更地にしない」
がけや段差を抱える豊島区の実家において、最もやってはいけない致命的なミスは、「売却しやすくするために、先に自腹で古い家を解体して更地にしてしまうこと」です。
建物が建っている間は、固定資産税の住宅用地特例(6分の1減額)が適用されています。 しかし、安易に家を壊して更地にしてしまうと、東京都安全条例の壁によって次の買い手が見つからず、固定資産税が最大6倍に跳ね上がった更地を長年抱え込む最悪の結末を迎えます。
高低差や古い擁壁がある敷地は、建物を残したままの状態で、建築基準法と条例をクリアできる設計・買取ノウハウを持った専門家へご相談ください。
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