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相続知識

豊島区の築古分譲マンション相続:売れない・直せない・壊せない! 旧耐震マンションの負動産化を防ぐ「敷地売却」完全マニュアル

1. 豊島区の旧耐震マンションが直面する「三重苦」


昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準のマンションは、豊島区内だけでも数百棟規模で存在します。立地は駅近の一等地にあることが多い反面、建物の内部では以下の危機が進行しています。


・管理組合の機能不全と「自主管理」の限界


住民の高齢化が進み、理事のなり手がおらず、管理会社から採算が合わないと契約を解除(管理委託の打ち切り)されて「自主管理」に追い込まれている物件が少なくありません。


・修繕積立金の枯渇と給排水管の寿命


給排水管(鉄管)の耐用年数は30年〜40年です。コンクリートの壁や床に埋め込まれた配管から漏水事故が多発しているにもかかわらず、過去の積立金設定が安すぎたために修繕費が足りず、配管の全館更新工事ができない状態に陥っています。


・買い手の住宅ローンが通らない


メガバンクや住宅金融支援機構(フラット35)は、耐震性が確認されていない旧耐震マンションに対する住宅ローン融資を極めて厳しく制限しています。現金で購入できる投資家やプロの買取業者しか買い手がおらず、相場価格から4割〜5割も買い叩かれます。



2. なぜ「建替え」は99%失敗するのか?「5分の4の壁」と巨額持ち出し


「古くなったなら、全員で取り壊して新しいマンションに建て替えればいいのではないか」と考えがちですが、日本の区分所有法においてマンションの建替えは極めて困難です。



ハードル1:区分所有法第62条「5分の4(80%)以上」の特別多数決


建替えを決議するには、区分所有者数および議決権の「各5分の4以上」の賛成が必要です。年金暮らしの高齢住民が多いマンションでは、「あと10年生きられるか分からないのに、今さら建替えなんていらない」「引越し作業だけで命が縮む」と反対する高齢者が必ず一定数存在し、合意形成が頓挫します。



ハードル2:1世帯あたり「1,500万〜2,500万円」の追加持ち出し


高度経済成長期のマンションは、当時の容積率(建物の体積)をギリギリまで使い切って建てられているものが大半です。 現在の建築基準法や豊島区の都市計画に照らすと、「今と同じ広さ(またはそれ以下)」の建物しか建て直せません。余分な部屋を作って一般に販売し、その売却益で建替え費用を賄う(保留床の売却)という手法が使えないため、住民1人ひとりが1,500万〜2,500万円以上の巨額の工事費を自己資金やローンで負担しなければなりません。



3. 現実的な脱出ルート:「マンション敷地売却制度」の活用


建替えが資金的・合意的に不可能な場合、現在主流となりつつある解決策が「マンション建替え等の円滑化に関する法律」に基づく「マンション敷地売却制度」です。


これは、マンションを建て替えるのではなく、「区分所有関係を法的に解消し、敷地(土地)と建物を丸ごとデベロッパーに一括売却して現金で清算する」仕組みです。



制度のメリット


・耐震性不足の認定があれば決議要件をクリアしやすい


豊島区から「要除却認定(耐震性が不足しており除却すべきマンションであることの認定)」を受けることで、敷地売却決議(5分の4以上の賛成)を行い、デベロッパーへ敷地を一括売却できます。


・自己資金の持ち出しがゼロ


住民が新しい建物を建てるための数千万円を負担する必要はありません。土地代金から解体費用等を差し引いた手残りの現金を、各部屋の専有面積割合に応じて各区分所有者(相続人)が受け取って解散します。


・反対派の住人を法的に買い取れる(売渡請求権)


決議に最後まで反対した区分所有者に対しては、敷地売却組合が時価で部屋を強制的に買い取る権利(売渡請求権)を行使できるため、1〜2人の強硬な反対者によって事業全体が頓挫することを防げます。



4. 豊島区の公的支援制度をフル活用する


豊島区では、高密度都市の防災力向上を目的とした「豊島区マンション管理適正化推進計画」を策定しており、築古マンションの再生に対して手厚い公的サポートを用意しています。


・アドバイザー(マンション管理士・建築士)の無料派遣


建替えや敷地売却、大規模修繕の合意形成が進まない管理組合に対し、豊島区が専門家を派遣して勉強会や個別相談を支援してくれます。


・耐震診断・耐震改修工事の助成金


昭和56年以前の旧耐震マンションについて、耐震診断費用の助成(区が費用の大半を補助)や、要除却認定の取得に向けた調査支援を行っています。



5. 【実例】巣鴨駅徒歩6分の自主管理マンション・敷地売却決議により一括換金し、手残り1,800万円を獲得した事例


豊島区巣鴨にある昭和46年築の分譲マンション(全24戸・鉄骨鉄筋コンクリート造6階建て)の1室(専有面積48平米)を相続した長男のK様(50代・会社員)の事例です。


・課題


父親が亡くなり、K様は売却を試みましたが、外壁のコンクリート爆裂(鉄筋のサビによる剥落)が放置されており、管理組合は高齢の住民による自主管理。修繕積立金はわずか300万円しか残っていませんでした。 大手仲介会社に依頼しても「旧耐震で管理状況が悪すぎるため、買い手がつきません。500万円でも売れるかどうか」と言われ、毎月3万円超の管理費・積立金・税金の支払いに頭を抱えていました。


・プロの介入と解決


私たちは現地の立地を調査。巣鴨駅から徒歩6分の商業地域に位置しており、「土地(敷地全体)としての需要は極めて高い」と判断しました。 K様を通じて管理組合の理事長(80代女性)にアプローチし、他の区分所有者数名と連携して豊島区の無料アドバイザー派遣を申請。


専門コンサルタントを交えた住民説明会を開催し、


・建替えには各戸約2,000万円の持ち出しが必要で現実的ではないこと


・豊島区の耐震診断助成を使って耐震性不足の診断を受け、「要除却認定」を取得すること


・「マンション敷地売却制度」を使い、敷地全体を大手デベロッパーへ入札にかけること を提案しました。


当初は「思い出の家を手放したくない」と反対していた高齢者も、「このまま崩壊して損害賠償を背負うリスク」と「現金を受け取って近隣の高齢者施設や賃貸へスムーズに移転できる資金計画」を提示されたことで賛成に転じ、無事に5分の4以上の賛成で「敷地売却決議」が可決されました。


・結果


入札の結果、都内大手マンションデベロッパーが敷地全体を約4億8,000万円で落札。 解体費や諸経費を清算した後、K様は専有面積の割合に応じた売却代金として「約1,800万円」の現金を一括で受け取ることができました。 当初「500万円でも売れない」と言われていた築古の1室が、敷地全体の一括売却により3倍以上の現金へと生まれ変わり、毎月の維持費の垂れ流しからも完全に解放されました。



6. まとめ:区分所有の相続は「1人だけで抱え込まない」


戸建ての実家であれば自分一人の決断で売却や解体ができますが、分譲マンションの相続は「他の部屋の所有者との共同生活・共同事業」であるため、個人の努力だけではどうにもならない限界があります。


「古いから」「売れないから」と放置して毎月の管理費を垂れ流し続けるのは最悪の選択です。管理費の滞納が重なれば、管理組合から競売を申し立てられる事態にもなりかねません。


豊島区の駅近にある古いマンションは、建物単体で見れば寿命を迎えていても、「敷地(土地)のポテンシャルは数億円規模の価値を秘めている」ケースが多々あります。 売却に困った際は、単に部屋単体での安売りを急ぐのではなく、管理組合や自治体、敷地再生に強い専門家を巻き込んで、マンション全体の出口戦略を模索することが真の資産防衛につながります。

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