豊島区の実家相続と「遺留分」の罠:遺言があっても安心できない? 次男からの金銭請求で実家を売却しないための防衛実務

1. 遺言書があっても奪えない権利「遺留分」とは?
第161回で「争族を防ぐためには公正証書遺言が最強である」とお伝えしました。遺言書があれば、原則として親が指定した通りの分け方で不動産の名義を変更することができます。
しかし、日本の民法には、遺言書をもってしても完全に奪うことができない相続人の最低限の取り分が定められています。これが「遺留分(いりゅうぶん)」です。
配偶者や子供(第一順位の相続人)の場合、法律で定められた法定相続分の「半分(2分の1)」が遺留分として保障されています。
例えば、豊島区の戸建て実家(評価額8,000万円)と預金ゼロという家庭で、相続人が長男と次男の2人だったとします。 親が「長男に実家をすべて相続させる」と遺言を残していたとしても、次男には「全体の法定相続分(1/2)× 遺留分割合(1/2)= 4分の1(2,000万円相当)」の遺留分権利が法的に保障されているのです。
2. 法改正による大変化:「不動産の共有」から「金銭の請求」へ
かつての法律(遺留分減殺請求)では、次男が権利を主張すると、実家の土地・建物が「長男と次男の共有名義」になってしまい、売ることも建て替えることもできなくなるトラブルが多発していました。
これを改善するため、2019年の民法改正により「遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)」へとルールが改められました。
この法改正により、実家の権利が共有になってしまう事態は防げるようになりました。実家の所有権は100%長男のものになります。 しかし、その代わりに生まれた新たな恐怖が、「遺留分に相当する金額を、すべて『現金』で支払わなければならなくなった」という点です。
「実家は手に入ったが、手持ちの現金が数百万円しかない長男」に対して、次男から「法律通り、現金で2,000万円を耳を揃えて払え」と請求されることになります。払えなければ、裁判所に実家を差し押さえられ、競売にかけられてしまうため、結局は実家を売却して退去せざるを得ない事態に追い込まれるのです。
3. 次男から遺留分を請求された時に実家を守る「3つの対処法」
もし突然、兄弟から遺留分の金銭請求が届いた場合、慌てて実家を売りに出してはいけません。以下のステップで冷静に対処します。
対処法1:豊島区の土地評価を「適正に下げて」反論する
次男側の弁護士が提示してくる実家の査定額は、周辺の最高値(相場の上限)で計算されていることが大半です。 不動産の評価額が高くなれば、その分、次男がもらえる遺留分の金額も跳ね上がるからです。 これに対し、こちらは豊島区の不動産に詳しい専門家を入れて、「道路が狭くセットバックが必要である」「擁壁の改修が必要である」「建物の解体費用がかかる」といった減額要素を綿密に算出し、適正な実勢価格・路線価ベースでの引き下げ交渉を行います。評価額を2割下げるだけでも、支払うべき現金は何百万円も少なくなります。
対処法2:家庭裁判所に「支払期限の猶予(分割払い)」を申し立てる
民法改正により、長男側がすぐに現金を用意できない場合、裁判所(東京家庭裁判所)に申し立てを行うことで、「金銭の支払いに相当の期限を認めてもらう(支払い猶予・分割払い)」ことができるようになりました。 一括払いを免れ、数年間の猶予をもらうことで、資金調達の時間を稼ぐことができます。
対処法3:実家を担保にした「不動産担保ローン」等で現金を調達する
実家の名義は長男に一本化されているため、その豊島区の実家を担保にして金融機関から融資を引き出します。 借り入れた現金で次男への遺留分を一括完納し、実家にはそのまま住み続けながら、住宅ローンのように毎月少しずつ返済していく手法です。豊島区の土地は担保評価が高いため、銀行からの融資を引き出しやすいという強みがあります。
4. 親が生きている間にやっておくべき「2大遺留分対策」
最も理想的なのは、親が元気なうちに「次男から遺留分の請求が起きない仕組み」を作っておくことです。
生前対策1:生命保険を活用した「代償資金」の準備
親を被保険者、長男を受取人とする「生命保険」に加入しておきます。 親が亡くなった際、長男の口座へ保険金(例えば2,000万円)が非課税枠つきでダイレクトに入金されます。 生命保険金は遺産分割の対象外となるため、長男はその現金をそのまま次男への遺留分支払いに充てることができ、自分の懐を痛めることなく実家を守り切ることができます。
生前対策2:生前の「遺留分の放棄(家庭裁判所の手続き)」
家族全員が納得している場合、親が生きているうちに次男自身が家庭裁判所へ申し立てを行い、「遺留分を事前に放棄する」手続きを取ることができます。 ただし、これには次男への相応の見返り(過去の学費援助や、ある程度の生前贈与など)が必要であり、裁判所の許可基準も厳格です。
5. 【実例】目白の実家(評価額9,000万円)を相続した長男・保険金と担保融資で2,200万円の遺留分を完納した事例
豊島区目白にある戸建て住宅(敷地38坪・評価額9,000万円)を所有していた父親と、同居する長男のA様(50代)、別居する次男の事例です。
・課題
父親は「家は長男に継がせる」という公正証書遺言を残して他界。預貯金は葬儀費用等でほぼ相殺され、残ったのは目白の実家だけでした。 遺言書の内容を知った次男は激怒し、弁護士を通じて「遺留分侵害額請求書」を送付。「実家評価額9,000万円の4分の1にあたる、現金2,250万円を支払え」と要求してきました。A様の手持ち預金は300万円しかなく、目の前が真っ暗になって当方へご相談に来られました。
・プロの介入と解決
私たちはまず、現地を詳細に再調査し、前面道路との高低差や越境問題などを反映した適正査定書を作成。次男側の過大な評価を是正し、実質的な請求額を「約2,000万円」まで引き下げさせました。
次に資金調達です。 幸いにも、父親が生前に当方のアドバイスを受けて「長男を受取人とする生命保険(死亡保険金1,000万円)」に加入していました。 A様はこの1,000万円を即座に確保。 残りの不足分1,000万円については、目白の一等地という高い担保力を生かし、提携する金融機関の「不動産活用ローン(低金利・長期分割)」を実家を担保に組成しました。
・結果
父親の逝去から4ヶ月後、次男へ合計2,000万円の遺留分侵害額を全額一括で支払い、正式な合意書を締結。 A様は住み慣れた目白の実家を1ミリも売りに出すことなく、完全に自分のものとして守り抜くことに成功されました。
6. まとめ:遺言書を書くなら「遺留分への手当て」までセットで行う
「遺言書さえ作っておけば、自分の思い通りに財産を渡せる」というのは半分正解で、半分間違いです。 特に豊島区のように、家ひとつの価値が数千万円から1億円近くに達するエリアでは、不動産を誰か一人に渡した瞬間、他の兄弟の遺留分を侵害してしまう可能性が跳ね上がります。
遺言書を作成する際は、必ず「侵害される側の遺留分がいくらになるか」を事前に計算し、その現金をどう手当てするのか(生命保険、納税資金、生前贈与など)までセットで設計しておくことがプロの実務です。
すでに親が亡くなって遺留分を請求されてしまった方も、諦めて家を手放す前に、まずは豊島区の不動産担保力と法務に強い専門家へご相談ください。
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